【柏原純一「烈眼」】今季2度目の同一カード3連敗(オリックス戦=京セラ)を喫した日本ハムを見て、チーム再建までの道のりは「はるか遠いな」と痛感した。

 2試合連続零封負けで、一矢報いたかった3日のオリックス戦(京セラ)。新庄監督の意図が選手に「浸透していないな」と思う場面が終盤の大事な局面で2つもあった。同点で迎えた8回の攻防だ。

 まず攻撃。一死二塁と勝ち越しの好機を作り、スイッチヒッターの5番・アルカンタラを迎えた場面で、新庄監督は代打・ヌニエスをコールした。しかし、当の本人がなかなかベンチから出てこない。あわててヘルメットをかぶって出てきたヌニエスは、初球を簡単に打ち上げて中飛に倒れた。「両打ちのアルカンタラになぜ代打?」という以前の問題で、ヌニエスはこの場面での代打を想定していなかったように映った。

 新庄監督の作戦に選手がついていけてない場面は、直後にもあった。1点もやれない8回の守り、3番手でベテラン・宮西が登板。一死三塁とされ3番・紅林を迎えた。カウント3―1となったところで「申告敬遠」をコール。ベンチは一死一、三塁として4番・吉田正との勝負を選択した。だが肝心のバッテリーが「えっ?」と戸惑う表情を見せたことからも、バッテリーは投手不利のカウントからでも「紅林で勝負」するつもりでいたのは明らかだった。その後、宮西&郡のバッテリーは気持ちを切り替えて吉田正との勝負に臨んだが、2球目に二盗を許し、二、三塁となった直後に決勝の2点適時打を許す、何とも後味の悪い失点となった。

 もちろん「采配」は監督の専権事項で、局面ごとの策をとやかく言うつもりはない。だが、どちらの場面も問題なのは、首脳陣と選手の意思疎通がしっかりとれているようには見えないこと。試合でも先発メンバーは直前まで発表しないなど、ベンチの全選手に一定の「緊張感」を与えるやり方は理解できる。

 ただ、一方で「何を意図したか?」を、前段階から理解することは絶対に欠かせない。選手側がその部分を落とし込んでいないと、その作戦を失敗したとき「どこまでできて、何が足りなかったのか」を考え、成長していくスピードにもかかわってくる。

 ただ漫然と「負けていい」わけではない。失敗や教訓を次につなげるためにコーチも選手も、それぞれの立場で〝ビッグボスの考え〟について理解を深めてほしい。

(野球評論家)