東出昌大(34)の主演映画「天上の花」(片嶋一貴監督)が初冬に全国で順次、公開されることが4日、配給の太秦から発表された。撮影は21年11月に終了しており、前所属事務所との専属契約を2月14日をもって解消して以降、フリーで活動している東出にとっての新作映画となる。

「天上の花」は、今秋に開催される詩人・萩原朔太郎の大回顧展「萩原朔太郎大全2022」記念映画として製作。朔太郎の娘・萩原葉子氏の小説「天上の花-三好達治抄」を、1966年(昭41)の発表から56年の時を経て映画化する。朔太郎を師と仰いだ詩人の三好達治に、幼少期からかわいがられた葉子氏が三好の人物像を描き、田村俊子賞、新潮社文学賞を受賞した。物語に登場する、三好が十数年にわたり思い続けた女性・慶子も葉子氏のおばがモデルとされ、三好が慶子に暴力をふるう、DVのシーンも生々しく描写されている。

東出は、劇中で三好達治を演じる。朔太郎の末妹で美貌で知られる慶子と結ばれることを望むが、貧乏書生と侮られて拒絶される。しかし、太平洋戦争の真っただ中の十数年後、慶子が夫と死別すると、三好は妻子と離縁して慶子と結婚し、身を隠すように越前三国に新居を構える。雪深い冬の過酷な生活の中、純粋な文学的志向と潔癖な人生観の持ち主の三好は、奔放な慶子に対する一途な愛と憎しみが、いつしか激情とともに制御できなくなっていくという物語。

朔太郎の妹・慶子役を入山法子(36)朔太郎役を吹越満(57)が演じる。さらに、詩人の佐藤春夫役を「YAWARA!」「20世紀少年」などで知られる、人気漫画家の浦沢直樹氏(62)が演じる。また原作者の萩原葉子氏を母、朔太郎を祖父に持ち「萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち前橋文学館」(群馬県前橋市)の館長を務める萩原朔美氏(75)と有森也実(54)林家たこ蔵(42)鎌滝恵利(26)も出演する。

脚本は、五藤さや香氏と荒井晴彦氏が担当。プロデューサーは太秦の小林三四郎代表取締役と、日刊スポーツ映画大賞で選考委員を務める、元文部官僚で映画評論家の寺脇研氏が務める。

東出は、狩猟生活するドキュメンタリーを制作中であることが、3月21日午前0時から音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」で放送されたラップグループ「MOROHA」の密着ドキュメンタリー番組「24hour MOROHA“単独”武道館」で発表されている。「東出昌大×MOROHAのドキュメンタリー作品」(エリザベス宮地監督)と題し同日、YouTubeで特報映像も公開。その中で、東出は雪の積もった山林を歩き、猟銃を撃ち、獲物を手に歩き

「殺生をする価値が自分にあるんだろうか?」

「ただ、山がなかったらリセットも出来ないから」

「ただ、死ぬなら山で微生物に食われて死にたい」

などと自問自答している。