新日本プロレスのグレート―O―カーンの獄中…いや、警察署内独占インタビューに成功した。3月29日に川崎市内の武蔵小杉駅で酔った男性から迷惑行為を受けていた10歳の女児を救出したオーカーンは、4日に神奈川県中原警察署から感謝状を贈呈された。本業では9日の東京・両国国技館大会で、ジェフ・コブと組んでIWGPタッグ王者の後藤洋央紀&YOSHI―HASHIに挑戦する。お手柄で日本の平和を守った余の、新たな誓いをとくと聞くがいい――。


 ――それにしてもお手柄だった

 オーカーン(以下・余)近くに困っている人がいたら助けるのは当然じゃないですか。(周囲をチラチラ見ながら)それよりも、いつも私なんかの記事を書いてくれてありがとうございます。

 ――!? オ、オーカーン様…?

 余 無礼をお許しください。なにか驚かせてしまいましたでしょうか。

 ――いえ、合わせます。今回の行動でプロレスラーのイメージがアップ

 余 なんともったいないお言葉…。私なんてペーペーの存在。プロレスを代表するなんておこがましいにもほどがあります。感謝状なんて私には重すぎるくらいです。

 ――各方面から称賛の声も上がっている

 余 まだまだ若輩者の身。皆さんご存じの通り、私は反則もひきょうなこともしたことがありません。普段の心がけが日常生活にも出ただけですよ。

 ――過去に新日本では2014年5月の横浜大会で岡倫之なる人物が暴漢を取り押さえたことも

 余 ウッ!! あ、頭が…! 他にもリングサイドでお客さま同士のケンカを止めたり、場外乱闘の際にお子さま連れの方を率先して守ったり…していたと言っても過言ではないよう気がいたします。すみません、調子に乗りすぎてしまったようです。無礼をお許しください。

 ――やりにくいなあ、おい。ともあれ新日本のレスラーとして学んできた行動が自然に出た

 余 はい。ただ今の新日本プロレスは私たちユナイテッド・エンパイア以外、悪い人たちがたくさんおりまして。

 ――取り押さえないといけない人物だらけだと

 余 毎日が戦いです。この毎日を送っているからこそ、困っている人を助けられる力を手に入れられたのだと思います。

 ――両国ではIWGPタッグ王座戦がある

 余 プロレスの試合に武器を持ち込むあの凶悪な…「毘沙門」などという、まるで暴走族のようなチームの方々と対峙しなければなりません。

 ――彼らも迷惑行為を繰り返していると

 余 恐ろしいことに棒で人を殴ったり、人のことを太鼓のように2人がかりで叩いたりするのです。彼らだけではありません。鈴木〝軍〟などと物騒なチーム名の連中もいます。バレットクラブでは内乱で暴力の連鎖が生まれています。そうだ! 棚橋弘至の名前は、プロレスを深く知らない方も一度は聞いたことがありますよね?

 ――有名だと思います

 余 その棚橋選手には試合後にもかかわらず後ろから襲われ、何度もパイプイスで叩かれました。天山広吉選手には無理やりモンゴリアンチョップを奪われそうになりました。それほど今の新日本プロレスは荒廃してしまっているのです…無礼をお許しください。私の、正義の名のもとに秩序を守っていきたいと思います。

 ――記憶が混濁しているようだ。ともあれプロレスラーは子供にとって憧れの存在であるべきだ

 余 もちろんです。私は永田裕志さんの息子さんに気に入られるほど、子供に大人気のレスラーです。その夢を壊さないように今後も精進していきたいと思います。

 ――永田さんの息子のくだりは実話だ

 余 ですが、情けないことにシングルマッチでは負け続きです。そんな私がチャンピオンになった時、新日本プロレスはいい人たちだらけの平和なリングになるはずです。

 ――確かに今のままではまだまだ弱すぎる

 余 ……。はい。もっと練習を頑張ります。

 ――試合に負けた時の記事も一部で好評だから、あんまり強くなられても困るけど。ハハハ!

 余 そ、そうですね。試合に勝った記事をたくさん書いてもらえるよう頑張ります…。(小声で)オイ、貴様。ここ(警察署)を出たら覚えておけよ。出口で待っておれ、処してやる。

 ――ぶ、ぶ、無礼をお許しください…。


【後楽園では「いつも」の姿】〝シャバ〟に出たオーカーンはこの日夜の後楽園ホール大会で8人タッグマッチに出陣。感謝状を手に登場し、会場の拍手喝采を浴びた。

 ところがクリーンファイトと見せかけて後藤に奇襲を仕掛け、自らリング外の善行を台なしに。試合後も王者組に暴行を加え、棒を奪うなどやりたい放題で「もうちょい、カッコいいとか言うのは待ってろ。まだテッペン取ってねえからよ。何が何でもチャンピオンになってやる。それが『正義を貫く』ってことだ。分かったら、ひれ伏せ、愚民ども」と、すっかりいつものオーカーン様に戻っていた。