俳優篠山輝信(38)が、日本シナリオ作家協会の第31回(2021年度)新人シナリオコンクールに入選した。

入選は同賞で最高賞に当たる。受賞作は、母の元歌手南沙織さん(67)の故郷・沖縄県を題材にした「島」で4日発売の「月刊シナリオ」で発表された。

篠山は受賞の言葉の中で「コロナ過で初めてシナリオを書いてみようと思った」とコロナ禍が執筆のきっかけだったと明かした。その上で「何について書くか、ということだけは自分でも不思議なくらい明確でした。僕の母は沖縄出身です。そして僕は血のつながった祖父を知りません。自分のルーツに何があったのか、知りたい気もするし知りたくない気もします。そういう僕の個人的葛藤からこの物語は生まれました」と続けた。そして「それがこのような結果となり、望外の喜びと同時に、沖縄の物語を書いた、ということの責任を感じています」と受賞の喜びを語った。

「島」は、自殺した母親が遺骨を沖縄の墓に入れて欲しいと遺言をのこしたことで、初めて沖縄に親族がいると知った中年男が、母の遺骨を菩提(ぼだい)寺に納めるべく親族を訪ねた。ただ、祖母に「同じ墓には入れられない」と追い帰され、その理由を探ることで、沖縄で生きた、そして生きている人々の苦悶(くもん)を知り、自分の出生の秘密も知ることになる、という物語。

篠山は「これからも自分の故郷として、日本人の一人として沖縄と向き合っていきたいと思います。最後に1年間オンラインでの講座で丁寧にご指導してくださった講師の方々、さまざまなご感想をくださった受講生の皆様がいなければ、この物語を書きあげることはできませんでした。心より感謝申し上げます」と感謝の言葉を述べた。

「太陽にほえろ」「西部警察」「あぶない刑事」などの脚本を担当したことで知られる、日本シナリオ作家協会理事の柏原寛司審査委員長は、選評で「『島』は沖縄の現代と過去をうまく表現した構成が見事で、主人公が母親の納骨をしに沖縄へ行くことで沖縄の歴史を、そして主人公とキャバ嬢のユーチューバーを通して現代の沖縄を描き出している。作者の力量はなかなかのものだ」と高く評価した。