連覇の行方はいかに――。米男子ツアーのメジャー初戦「マスターズ」(ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC)は7日(日本時間同日夜)に開幕する。昨年10度目の挑戦でアジア勢初制覇を果たした松山英樹(30=LEXUS)が史上4人目の連覇に挑む。首付近の痛みで先週は途中棄権しており、長年「マスターズ」を見続けてきた芹沢信雄(62=TSI)も状態を心配する一人。コンディション回復が最優先事項となる中、芹沢が快挙の可能性に迫った。

 松山は「アーノルド・パーマー招待」(3月3~6日)では首周辺の痛みを訴えながらも完走したが、その翌週の「プレーヤーズ選手権」は初日スタート前に棄権。2週前の「デルテクノロジーズ・マッチプレー」は欠場し、先週の「バレロ・テキサスオープン」で復帰したものの、2日目のプレー中に棄権した。

 連覇のかかる「マスターズ」には、どの程度のコンディションで出場できるか注目される中、芹沢も、とにかく松山のコンディションを気にかける。「状態が一番心配なところ。首から背中にかけて痛みがあると、バックスイングの捻転がなくなってしまいますので、思い切り振れなくなります。特に彼はインパクトで顔が残るタイプなので、痛くてインパクトで力が抜けると飛距離が落ちてしまいます。休んだり棄権したりしたのは痛みからなのか、マスターズを見据えて無理をしないで完璧に戻そうとしたのかはわかりませんが、後者なら連覇の可能性はあると思います」

 ただ過去にはジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズ(ともに米国)、ニック・ファルド(英国)の3人しか連覇を達成していない。簡単ではないチャレンジを前に芹沢は、こうポイントを挙げた。「オーガスタとの相性はいいですし、今年は1月のハワイ(ソニー・オープン)で勝っています。彼はちゃんとしたショットを持っていますので、大事なのは無駄なボギーをしないこと。いかに2~3メートルのパーパットを入れてパーセーブできるかでしょうね。去年はそれができていました。オーガスタは、簡単にボギーが出ますので、そこをいかに抑えて取れるところでバーディーを取ることに尽きると思います」

 今回はアマとして国内ツアーを勝利し、「アジアパシフィックアマチュア選手権」優勝→「マスターズ」出場という“松山ルート”をたどる金谷拓実(23=Yogibo)と、アマチュアの中島啓太(21=日体大4年)が出場する。この2人の参戦はプラスになるという。「今年は今までと違って後輩2人が出ます。年上の選手が出ていたり、自分一人という形が多かったですけど、今回は日本人選手で自分が一番上となり、自分の姿をしっかり見せたい気持ちもあるでしょう。立場が変わったことが、また違ったモチベーションになると思います」

 また今年で11回目の出場となり、オーガスタでプレーを続けてきたからこそのアドバンテージもある。新型コロナウイルス禍で11月開催の2020年は無観客、昨年は一部有観客となったが、今回はフルオープン。パトロンが完全に戻ってくる。「特に経験の浅い選手はパトロンの多さにビビると思うんですよ。いるといないとでは雰囲気もコースの難易度も変わります。だからマスターズって最終的に有名な選手が上位にいるってことが多いですよね。松山君はその中にいる選手ですから」と指摘した。

 首などの状態も回復傾向となっており、松山は今年のオーガスタでも躍動が期待される。