NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が8日、最終回を迎え、川栄李奈(27)が「ひなた」を見事に演じきった。3世代にわたる母と娘の愛が描かれた家族100年の物語で、川栄は女優として大きな実績を残したといえる。

【カムカム】3世代ヒロイン年表はこちら>>

川栄はAKB48時代、ファンやメンバーから「おバカ」キャラで愛された。確かに学力テスト企画で最下位になったこともあるが、仲のいいメンバーからは「漢字は読めないけど、なぜかセリフ覚えは早い」などの声もあった。川栄をよく知るスタッフほど「彼女は天才」とも言っていた。

確かにアイドル時代のインタビューでも、「そ~ですね」と相づちを打ちながら、言葉がスラスラと出てきた。細かい言葉遣いが間違っていることや、ストレートすぎて誤解を生むような表現をすることもあったが、とにかく頭の回転が速かった。

当時からいくつかのドラマには出演していたが、ソロ女優としての礎となり、潜在能力が開花した代表的な作品はグループ卒業直後の15、16年に主演した舞台「AZUMI 幕末編」「AZUMI 戦国編」だろう。

刺客という使命を背負いながら、屈強な男たちに立ち向かう主人公のあずみを演じた。心を許した仲間たちが殺されたり、自分の運命を突きつけられたりして、感情を爆発させるシーンも好演した。20種類以上ある殺陣の場面もよどみなくこなした。

同作の演出を手掛けた岡村俊一氏は当時を回想し、「せりふ覚えがいいのはもちろんですが、とにかく吸収力がある。何を入れても、いくらでも入ってしまうんです」と明かした。演技の面では特に「感受性」を評価した。

「受け止める能力がずばぬけている。今の朝ドラでもそうですが、最初から『こう演じたい』と前掛かりになるのではなく、『この人がこうなってしまったら、私はこうなってしまうだろう』ということを表現するのがとにかくうまい」と絶賛した。

今では多数のドラマや映画に出演し、好感度も高くCMにも引っ張りだこだ。今思えば、AKB48時代も「おバカ」というより単純に「打てば響く」タイプだったのかもしれない。岡村氏が「いい意味で、からっぽのコンピューターのよう」と評した吸収力で、引き続き女優としてのキャリアを順調に重ねていく。【横山慧】

「カムカム」最終回まとめはこちら>>