広島からポスティングシステムで移籍したカブスの鈴木誠也外野手(27)が7日(日本時間8日)のブルワーズとの開幕戦に「6番・右翼」でスタメン出場し、0―1の5回先頭の第2打席でメジャー初安打を左前にはじき返した。後続の安打と犠飛で初得点もマーク。第4打席こそ見逃し三振に倒れたものの、2四球を選んで3度出塁するなど5―4の逆転勝ちに貢献した。

 ただでさえ緊張する開幕戦。気温6度ほどのリグリー・フィールドで、鈴木はいたって冷静だった。相手先発は昨季11勝5敗、防御率2・43で最優秀防御率に輝き、ナ・リーグのサイ・ヤング賞にも選ばれた右腕バーンズ。広島時代にも登場曲として使用していたイマジン・ドラゴンズの「サンダー」が流れる中、地元ファンによるスタンディングオベーションに迎えられた2回一死二塁の第1打席は3球で追い込まれながらもカーブやカットボールを見極め、バットを一度も振ることなく四球で出塁した。

 ベールを脱いだのは0―1の5回先頭で迎えた第2打席だ。初球のカーブを見送り、2球目に反応。「何とかバットに当たってくれ」と始動したメジャー初スイングで外角のスライダーを捉え、初安打を左前にはじき返した。「捕られるかと思ったけど、抜けてくれてよかった」。一塁ベース上では安どの表情を浮かべた。

 鈴木の武器はバットだけではない。続くヘイワードの中前打で「センターの動きは見えていた」と一気に三塁を陥れ、無死一、三塁からウィズダムの中犠飛でメジャー初得点となる同点のホームを踏んだ。さらに一死一塁から9番ホーナーが勝ち越しの2ランを左中間スタンドへ。全ては鈴木の一打と好走塁から始まった。

 6回の第3打席でも前を打つシュウィンデルの併殺打の直後に2番手左腕アシュビーから粘った末に8球目で四球を選んだ。初打席から3打席連続出塁。古巣広島では長く4番を張ってきたが、新天地では「後ろにいい打者がたくさんいる。塁に出て自分の役割を果たそう」とチャンスメーカーとして、どんな形でも塁に出ることを優先している。

 チームは7回に追いつかれたが、直後に4番ハップが2点二塁打を放って再び勝ち越し。救援陣がブルワーズの反撃を1点に抑え、カブスは5―4で逃げ切り開幕戦勝利を飾った。右翼から笑顔でチームメートのもとへ戻ってきた鈴木は笑顔でハイタッチ。昨年までの赤ではなく、青く染まったスタンドに「異常な盛り上がりがあって、すごく楽しかった」と自然に笑顔がこぼれ出た。

 日本でも大事にしていたのは個人成績よりチームの勝利だった。鈴木が新天地で最高のスタートを切った。