米国のスティーブン・スピルバーグ監督(75)が、第2次世界大戦時のナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を描き、アカデミー賞作品賞など7冠に輝いた「シンドラーのリスト」(1993年)で、モノクロ映像の中で赤いコートを着て登場した少女が、ポーランドでウクライナ難民の支援活動をしていることが分かった。

オンラインニュース、デッドラインなどによると、劇中でユダヤ人隔離居住区で逃げ惑うユダヤ人の中で1人だけ赤いコートを着ていた当時3歳だった元女優のオリヴィア・ダボロフスカさん(32)が、ロシアによる侵攻を受けたウクライナから隣国ポーランドに避難してきた人々を手助けする活動をしており、現実世界のヒーローだと話題になっている。

現在ポーランドでコピーライターの仕事をしているダボロフスカさんは、自身のインスタグラムに「彼女はいつも希望のシンボルだった。彼女をもう1度希望にしよう」とコメントを添え、ウクライナ国旗の色である黄色と青を施した映画の象徴的なシーンのアート画像を投稿。

国境近くで母親とともに難民支援を行うボランティアグループを率いているといい、家探しや輸送などの支援をしていると明かしている。「国境からわずか20キロの場所で爆撃がありました。とても近く、怖いですが、もっと難民を助けようという唯一のモチベーションになっています」などとつづり、活動中の自身の写真も投稿している。

「そこで見た全てのことを伝えるための言葉が思い浮かびません。このようなことを見たことがない人は誰もが、彼らが見た悪夢を想像することはできません。私は彼らのこと、彼らの顔、彼らの目は決して忘れません。私はできる限りのことをします」とコメントし、「国境では物理的な支援及び金銭の寄付を必要としています」と支援を求めている。

スピルバーグ監督は、ホロコースト犠牲者を象徴する存在としての表現で赤いコートの少女を起用したといわれている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)