倍賞千恵子(80)が8日、東京・葛飾区の葛飾柴又寅さん記念館・山田洋次ミュージアムのリニューアル式典(オープンは9日)に出席した。「男はつらいよ」シリーズで、渥美清さんが演じた主人公寅さんの妹さくらを演じた倍賞は式典後の囲み取材の中で、コロナ禍で寅さんはマスクを着けたか、ステイホームしたかと聞かれ「お兄ちゃんは、しなかったでしょうね。柴又に帰ってきたら、みんな(商店街の)お店中、マスクして、やいのやいの言われても『分かった、分かった』と、その時だけ言って『俺は、かかんない』と着けなかったでしょうね」と笑った。

そして「寅さんがマスクをした顔が、思い浮かばない」とも口にした。山田洋次監督(90)が「よく、着けてたけどね」と渥美さん本人はマスクを着けていたと振り返ると、倍賞は「田所さんはしていたけど、寅さんはしないんじゃないかな」と、渥美さんの本名(田所康雄)を口にしつつ、寅さんはマスクをつけないであろうという認識を重ねて示した。

山田監督は「薬屋に美人のおかみさんがいたら、喜んで着けたと思いますよ。『立体形がいいですか?』って聞かれたら『鼻なんか(低くて)ないです』って言って、笑わせたりして」と笑いながら突っ込んだ。その上で「『不要不急の寅次郎』を作ろうと思った。寅さんは、いなくてもいいんですよ…でも寂しい。しばらくしたら、だんだん、寂しくなる。帰ってきて欲しいと思う…そういう人の存在を楽しむ、ゆるやかなものが、この国から消えてしまったということだと思う」などと語った。