阿部寛(57)が8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画「とんび」(瀬々敬久監督)初日舞台あいさつで、新年度に入って新生活を始めて不安を抱える若者に、熱いエールを送った。

阿部は、司会が観客から1人選ぶと客席に呼びかけると「最近、よく受験生とかを励ますというの、よく…あのドラマをやってから再三、要求される」と口元に笑いを浮かべた。05年に放送された大ヒットドラマの15年後を描いた続編として、21年4月にTBS系で放送されたドラマ「ドラゴン桜」で演じた、受験指導のプロで元暴走族の弁護士・桜木健二を演じた、影響の大きさをにじませた。

阿部の“直エール企画”は、劇中で演じる日本一不器用な男ヤスの息子で、北村匠海(24)演じる息子アキラが早大に合格し、瀬戸内海に面した備後市を旅立ち、上京するエピソードにちなみ、行われた。

阿部は、愛知県から神奈川県の大学に進学し、初めて1人暮らしを始めたという若い男性に「今…悩みごとって早速、ありますか? 寂しいですか?」と呼び掛けた。男性が「親がよく話す人なので、1人で無音が寂しい」と答えると「寂しい時は、たくさん食べて…食べてって言っちゃったな。とにかく、半年、乗り切れば何とかなるから…頑張ってこいよ!!」と右手を大きく振ってエールを送った。男性は「心に響きました。ありがとうございます」と喜んだ。

阿部は、締めのあいさつで「親になった時は誰もが初めてで、いろいろなことに悩むと思います。正しい親なんて多分、いないと思うんですよ。その都度、悩んで、失敗して…そういうふうに人間は生きていくんだと思う」と熱く語った。その上で、昨今の世界情勢を踏まえ「世界もそうですけど、正しいことなんか押しつけるのが間違っていると思う。とにかく、優しさを持って一生懸命、愛情を持って人に接する…それが大事なことなんだと思います」と訴えた。