中島健人:“監督界の魔術師”深川栄洋監督に「役者にしていただいた」 生じたマインドの変化

映画「桜のような僕の恋人」で主演を務めるSexy Zoneの中島健人さん
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映画「桜のような僕の恋人」で主演を務めるSexy Zoneの中島健人さん

 動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」で配信中の映画「桜のような僕の恋人」。本作で主演を務めたのが人気グループ「Sexy Zone」の中島健人さんだ。中島さんは今作で深川栄洋監督と出会い、その演出を受けるうちに自身のマインドに変化が生じたという。“監督界の魔術師”と称する監督によって「役者にしていただいた」と語る中島さんに、共演の松本穂香さんと撮影を振り返ってもらった。

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 ◇互いの印象は「真っすぐさがすてき」「見ているとすごく癒やされる」

 映画は、宇山佳佑さんの同名小説(集英社文庫)が原作のラブストーリー。美容師の有明美咲(松本さん)に恋をした朝倉晴人(中島さん)。美咲にふさわしい人間になろうと、あきらめかけていたカメラマンへの夢をかなえようと決意するが、美咲は人の何十倍も早く老いていく難病を発症してしまう……というストーリー。3月24日に配信され、14日間連続でNetlfixの「今日の映画ランキング」で1位(日本)を記録。世界の週間映画ランキング(非英語部門)でもトップ10入りを果たすなど、話題を呼んでいる。

 中島さん演じる晴人は内気で打たれ弱い青年。華やかできらびやかなパブリックイメージを持つ中島さんとは対照的な役どころだろう。しかし、美咲と出会ってからの晴人はただひたすら真っすぐに夢を追い求めていく。この内に秘める熱さは、どこか中島さん自身と通ずるところがあるようにみえる。

 ヒロイン役を務めた松本さんも、中島さんについて「何より真っすぐさがすてき」だと語る。「すごく熱いものが芯にあって、それによって周りも良い方向に引っ張られていたように感じます。いろいろな面があって面白い方ですし、みんな自然と(中島さんを)大好きになっている印象でした」と明かした。

 一方、松本さん演じる美咲は、夢に向かって頑張っている明るく勝ち気な女性。しかし、難病が発覚してからはふさぎ込むようになり、松本さんはそんな美咲の心情のギャップを見事に表現している。以前、松本さんの主演ドラマ「この世界の片隅に」のプロデューサーが、松本さんについて「どこに落ち着くか分からないハラハラするような感じがある」と語っていた。一見すると未知の病に侵されていく美咲にもどこか重なる部分があるようにもみえる。

 しかし「僕は全くその逆の印象ですね」と中島さん。「穂香さんの周りには澄んだ空気が流れていて、見ているとすごく癒やされる。柔和で、話しているだけで“デトックス”されるような、心が洗われる感じがありました」と語った。

 ◇「幸せな時は幸せだなってちゃんと思いたい」 晴人の“今をかみ締める生き方”に共感

 では、中島さんと松本さんはそれぞれ、自身の役に対してどのように感じていたのだろう。中島さんは「美咲さんから晴人にメールが来て、晴人がすごく喜ぶシーンがあるのですが、あれはもう僕です(笑い)」と告白。「僕もうれしいことがあったら『よっしゃー!』って喜びます」と共通点を明かす。

 「幸せな時は幸せだなってちゃんと思いたいんですよね。いつそうじゃなくなるか分からないから、今をかみ締める生き方をしています。晴人もそうだなって。だから耳たぶを切られても、これが最大のチャンスだと思って告白して。いつの間にかポジティブなエネルギーが働いているところには共感しました。僕もピンチをチャンスに変えちゃうタイプかもしれないです」

 松本さんもまた、美咲に共感する部分があった。自分は「『好き』とか結構分かりやすく表に出てしまうタイプ」だといい、「美咲が恋をしている表情だったり、素の自分に近いような表情がたくさん出ているなと感じました」と、劇中での姿を振り返った。

 ◇「固いマインドほぐしてもらった」 “監督界の魔術師”がもたらした変化

 晴人と美咲のはかなくも美しい恋物語を描く本作。メガホンをとったのは、映画「白夜行」や「神様のカルテ」シリーズなど、登場人物たちの繊細な心の機微を切り取ってきた深川監督だ。

 そんな深川監督について、松本さんは「厳しいこともストレートに言ってくれる、うそがない監督」だと語る。「その分、根っこにものすごく温かさがある。ちゃんと私たちのお芝居を見てくださっていますし、監督なりにプランがありつつも、無理にそこに押し込めようとしないというか。私たちが役として表現するものを正解だと信じて撮ってくれるような、温かい監督だなと思いました」と明かした。

 一方、「魔術師のようなイメージ。呪文を唱えるように演出されるので、監督にマインドを完全にコントロールされる感覚になりました」と話した中島さん。「ストイックで、ひたすらそのお芝居になるまで“演出呪文”を唱え続けるんです。でも、そのマインドをコントロールされる感覚は、監督の世界でお芝居をする上ではすごく大切なことだなと感じました」と語る。

 「自分自身、結構固いマインドの持ち主なのですが、それを監督にほぐしてもらって。監督によって自然体の自分になれましたし、役者にしていただきました。僕は監督界の魔術師だと思っていますし、ものすごく感謝しています」

 “深川ワールド”の中で中島さんと松本さんが作り上げていった晴人と美咲。魂宿るその姿と、2人が紡ぐ物語の結末をぜひ見届けてほしい。

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