故ジョン・レノンの長男ジュリアン・レノンが8日(日本時間9日)に父親ジョンの代表曲「イマジン」を初めて公の場で演奏した映像を、ユーチューブで公開した。ウクライナへの人道的支援を呼びかける募金運動「スタンド・アップ・フォー・ウクライナ」に共鳴したジュリアン自身が行動に動いたもの。

 無数のろうそくが灯される中、エクストリームのギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートがギターを弾き、ジュリアンは真摯な表情で父親の名曲を切々と歌っている。1984年に「ヴァロッテ」でデビューしたジュリアンが「イマジン」を公の場で歌うのはキャリア上で初めて。歴史的かつあまりに感動的なパフォーマンスとなった。

 ジュリアンは自身のツイッターで4回に分けて切々とメッセージを寄せている。

「ウクライナの戦争は想像を絶する悲劇です。人間として、そしてアーチストとして、私は自分ができる最も効果のあるな方法で対応しようと感じました。だから私は今日、初めて父の歌『イマジン』を公で演奏しました」

「なぜ今なのか。私は『イマジン』を歌うのは世界の終わりが訪れる時だけだと言ってきました。
しかし、父の歌詞は現在、世界の平和を願う私たちの気持ちを反映している。この曲の中で、私たちは愛と連帯感が現実となる空間へ、ほんの一瞬だけでも連れて行かれるのです。この曲は、私たち誰もが願っているトンネルの先の光を映し出しています…」

「現在も続く残虐な暴力の結果、何百万もの罪のない家族が、住み慣れた家を離れ、別の場所に保護を求める状況が余儀なく続いています。私は世界の指導者たちと『イマジン』に込められた思いを信じるすべての人に対し、あらゆる場所の難民のために立ち上がるよう呼びかけたい。心からの共鳴と寄付をお願いします」

 ジュリアンは今年後半に約11年ぶりとなるアルバム「ジュード」を発表予定。同作品のタイトルは、ザ・ビートルズ時代のポール・マッカートニーが、1968年に当時両親の別居に悩んでいた5歳のジュリアンをなぐさめるために作ったとされる名曲「ヘイ・ジュード」へのオマージュとなっている。しかしその前に、世界平和のため亡き父の名曲を初めて公の場で歌ったジュリアン。パフォーマンス映像には本来は寡黙なはずのジュリアンの決意と、平和への祈りと願いが満ちている。