「ボクシング・ＷＢＡ・ＩＢＦ世界ミドル級王座統一戦」（９日、さいたまスーパーアリーナ）

　ＷＢＡスーパー王者の村田諒太（３６）＝帝拳＝がＩＢＦ王者のゲンナジー・ゴロフキン（４０）＝カザフスタン＝に九回ＴＫＯで敗れ、王座統一に失敗した。戦績は村田が１６勝（１３ＫＯ）３敗、ゴロフキンが４２勝（３７ＫＯ）１敗１分。

　初回から接近戦での打ち合いを狙って前に出た。帝拳の本田明彦会長が「よく毎日、見られるな、と思うぐらい」と評するほどゴロフキンの映像を徹底的に研究。描いてきたイメージ通りに左のジャブ、ストレートでプレッシャーを掛け、効果的な左ボディーを再三打ち込んだ。

　ゴロフキンも呼応するように打ち合い、序盤から激しい攻防が展開された。両者一歩も退かずに終盤に突入。そして迎えた九回。百戦錬磨の猛者は疲れが見え始めた村田に猛ラッシュを仕掛け、最後はセコンドがタオルを投げ入れた。

　試合後、リング上でインタビューを受けた村田は「皆さん応援ありがとうございました」と周囲への感謝を述べ、「想像していたものと違うものを感じました。自分が思っていたよりもすごいな、と思う点と、これは結構いけたな、と思う点とがあって。でもやっぱり総合力、やっていてパンチの角度とかで上をいかれているなと思いました」と激闘を振り返った。

　さらに「僕がやった、やらないというのも大事かもしれないですけど、見てくださった方々が楽しんでくださったかが、大事だと思うので」と続け、「こうして拍手を頂けることをすごくうれしく思います」と素直な思いを述べた。

　総予算２０億円を超える日本ボクシング史上最大のビッグマッチ。コロナ禍で２０２１年１２月の対戦が延期になり、関係者の奔走で奇跡的に実現した対戦で、村田に勝利の女神が微笑むことはなかったが、試合後の村田は最後まで、清々しい表情をみせた。