熱帯アジア(インドなど)原産の生姜(ginger)は我々医師が使用する漢方薬約200種類の約70%に生薬として配合されており「生姜なしでは漢方は成り立たない」と言われる所以である。
薬理学的に、生姜の薬効成分(主にジンゲロン、ジンゲロール、ショウガオール)の効能を列挙すると
①発汗、解熱、去痰、保温作用
②鎮痛作用
③鎮咳、鎮吐作用
④だ液、胃液、胆汁の分泌亢進作用(消化促進)
⑤抗潰瘍作用
⑥腸管内輸送促進作用(消化不良、ガス=腹部膨張時に効く)
⑦強心作用
⑧血圧低下作用
⑨血栓予防
⑩うつの改善
⑪めまいの予防改善
など、多岐にわたっている。
英語の“ginger”を辞書で引くと
【名】生姜、意気、軒高、元気
【動】生姜で味つけする、活気づける、鼓舞する
とある。イギリス人も生姜の効能を知悉していたのであろう
“There is no ginger in him”というのは「彼には気骨がない」という意味だ。
生姜は、全身の細胞の新陳代謝を高め、特に大脳や延髄の呼吸・循環中枢を刺激して全身の機能を高め、気力、体力、免疫力を高める作用があるとも科学的に証明されている。
すりおろし生姜をみそ汁、納豆、豆腐、うどん、そばなどにご自分が「旨い」という量を加えて食べられるとよい。また、熱い紅茶にすりおろし生姜と黒糖(又はハチミツ)を「旨い」と思われる量を入れて作る「生姜紅茶」を1日2~4杯愛飲されるとよい。
◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は生島ヒロシ氏との共著「70代現役!『食べ方』に秘密あり」(青春出版社)。