ＷＢＡスーパー＆ＩＢＦ世界ミドル級の王座統一戦（９日、さいたまスーパーアリーナ）に敗れて王座陥落した村田諒太（３６＝帝拳）が１０日、一夜明けた心境を明かした。

　歴史に残る大激戦。普段は「試合日の夜はあまり寝ていない」という村田だが、ずっと追い続けた新統一王者のゲンナジー・ゴロフキン（４０＝カザフスタン）との戦いは特別だったようだ。ホテルに戻って４時間ぐらい睡眠。「仕方なく寝ました」。試合の映像はまだ見ていないというが「無事にリングから下りることができた安堵感はあります。本当にプロになって、帝拳ジムに来て良かったです」と振り返った。

　試合前、本田明彦会長から「楽しんで来い」と言われた言葉が胸に刺さった。「すごくうれしくて。ここ３年ぐらい、無理に楽しもうとしていた。特にパフォーマンスのために感情を封印していたところもありました」。ゴロフキンと互角に打ち合い、あと一歩まで追い詰めた試合を「すごく濃密な時間だった。あの時間の感じ方、空間を味わえたことが、僕の大きな僕の財産です」と位置づけた。

　２年４か月ぶりの試合でプロ３敗目。３６歳という年齢もあり、進退が注目される。前夜、本田会長は「まさか、またやるとは言わないと思う。たぶん勝っても負けても最後だと思ってやったと思う」と引退を示唆したが、村田はどう考えているのか。

「今はまだ受け入れの段階だと思うので、頭が理解していないのです。昨年に試合延期となった喪失体験と同じ喪失体験ですね。１度否定的になったり、頑張ったり、そういう反動が起きると思う。その反動が落ち着いてから、負けというもの受け入れていくと思う。まだ感情の整理は当然のようにできる段階ではないですね。心理学は大事ですね。こうやってプロセスを知って、次に来る感情は予測できるのはいいことだと思っています」

　いつものように自身の気持ちを的確な言葉で表現。揺れ動く心の変化を俯瞰（ふかん）しつつ、村田はこう続けた。

「いろんなプロセスをたどるはずです。これが落ち着いて、負けたという事実が来ます。ボクシングをするかしないか悩みはじめて。ボクシングをしたいとか、やっぱり辞めるかとか。次の道がなかなか見つからないとか。いろいろなプロセスが来ると思う。大変にはなると思います。それも乗り越えていければいいなと思っています」

　そして、最後に「進退」について「ゆっくり休んでから考えます」と答えた。