ボクシングの前WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(36=帝拳)の進退に注目が集まっている。9日に行われたIBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)との王座統一戦(さいたまスーパーアリーナ)は壮絶な打ち合いの末、9ラウンド(R)に右フックをくらってTKO負け。王座を失ったものの、ボディーを何発も打ち込んで「GGG(トリプルG)」を追い詰めたシーンは世界からも高評価を得た。

 しかし、帝拳ジムの本田明彦会長は試合直後に「まさか、またやるとは言わないと思う。たぶん勝っても負けても最後だと思ってやった」と引退を示唆。村田本人は試合から一夜明けた10日に「ゆっくり休んでから考えます」と話すにとどめ、進退を保留している。そうした中、村田の引退に「待った!」をかけている人物がいる。

 村田の〝古巣〟であるアマチュア界を統括する日本ボクシング連盟の内田貞信会長だ。2012年ロンドン五輪金メダリストの村田とは現在も親密な関係。前夜の激闘後も村田とLINEで連絡を取り合った内田会長は「すごく感動しました。ゴロフキンをあれだけ追い詰めた人はいません。あの試合を見る限り、まだ引退する必要はないと思います。2年以上もブランクがあって、あんな試合をするんですから。絶対にまだやれます」と言い切った。

 内田会長はアマ時代から村田を見続けているだけに、そのポテンシャルを誰よりも知る一人。「ぜひもう一度、世界チャンピオンになって、ベルトを巻いた状態で引退してほしい。その力は十分にあります。ゴロフキンが世界で一番強いなら、村田選手は2番目。引退はまだ早いです」とあくまで現役続行を訴えたが…。村田はどのような決断を下すのか。