新体操W杯ソフィア大会(ブルガリア)が閉幕した10日、表彰式で異例となる1分間の黙とうが捧げられた。

 ロシアによるウクライナ侵攻で多くの犠牲者が出ている中、将来有望な新体操選手にも悪夢が直撃した。体操王国ウクライナの将来の金メダル候補、11歳のカティア・ディアチェンコさんはロシア軍が包囲するマリウポリに在住。ロシア軍のミサイル攻撃を受け、家族と一緒にこの世を去った。現在、開催中の新体操W杯、世界選手権などの輝かしい舞台での活躍を夢見ていたが、戦争によって打ち砕かれた。

 この日、表彰式でスピーチした国際体操連盟・渡辺守成会長は涙ながらに亡くなった少女の悲報を会場のアスリート、関係者へ伝えた。

「戦争による罪のない犠牲者。彼女の死はとても悲しい。私たちは皆、家族の一員だ。国籍がどうであれ、体操選手は皆、私の子供たち…」

 ほおに伝う涙をぬぐうことなく、渡辺会長は「どうか私と一緒に黙とうを捧げ、カティアとその家族、そしてすべての人のために祈ってください」と訴えると、会場は全員が起立。1分間の黙とうが行われ、その場にいた全員がカティアさんの死を悼んだ。