女優の藤山直美(63)と甥で俳優の藤山扇治郎(35)が11日、大阪市内で「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」(5月3~26日、大阪松竹座)の制作発表会見に登場した。

 今年は〝昭和の喜劇王〟と謳われ、お茶の間で絶大な人気を博した藤山寛美さんの三十三回忌に当たる。

 直美は「松竹の方から追善の話をいただきうれしく思いますが、お父さんの追善公演はこれで区切りにさせていただきたい。お父さんを知っている方もお年を召されてきましたし、これから上方喜劇、松竹新喜劇の方でお父さんを超える役者さんが出てくるのが一番の追善です」と最後の寛美さん追善公演になると明かした。

 寛美さんは60歳で亡くなっており、直美はその年齢を超えた。偉大な父親について「俳優としたら次元が違う。また、どこから来るのかという悲しさを持っている。哀愁があるなぁ、と父親の年を抜いて感じます。父親としては厳しかったと思います」と振り返った。

 公演では父の代表作「大阪ぎらい物語」を演じることになっており、「男が一番の『男尊女卑』の家庭で育てられましたけど、その家に育ってよかったと思う。船場の話ですから。感謝している。宝物として生きていきたい」と話した。

 一方、「愛の設計図」に出演する扇治郎とは、02年の寛美さんの十三回忌以来の同一公演への出演となる。

 寛美さんは「お前を呼んだら座員に気を使う」と直美を新喜劇に出演させなかったという。その上で、直美は「藤山扇次郎という役者が、私が芝居させてもらう時に、周りから『この役は扇ちゃんに』『あの子うまいもんな』と言ってもらえたら、私は誰にも迷惑かけないし、お客さんにも説得力がある。だから、佐々木朗希さんみたいになって!」と野球ファンらしいたとえで叱咤激励。

「完全試合は無理でも、せめてビシッと三振を3つくらい取れる役者さんになってくれたら私もうれしい」と伯母心を見せていた。

 追善公演は東京・新橋演舞場(7月1~25日)、京都南座(10月1~23日)でも行われる。