立憲民主党は12日、国会内でドキュメンタリー映画「牛久」を上映し、トーマス・アッシュ監督の講演を開いた。

「牛久」とは、オーバーステイなどで在留資格を失い、国外退去を命じられた難民認定申請者らが多く収容されている入管施設のことだ。

 トーマス監督は2019年に入館問題に関わり、教会のボランティアとして入管施設の収容者との面会活動をしている友人に誘われ、茨城県の牛久と東京・品川の施設を訪れた。

 この施設では、録画や録音は一切禁止、携帯電話の持ち込みも許されない。トーマス監督は「牛久」の面会室にビデオカメラを忍ばせ、アクリル板越しに過酷で理不尽な扱いを訴える収容者の姿を記録した。

 映画公開された後は、劇場で観客と意見交換した。さまざまな意見が寄せられるなかで「隠し撮り」手法に対し、批判的な意見があったという。この現状をどう受け止めたのか。

「〝隠し撮り、隠し撮り〟と皆さまがおっしゃるけれど、この映画で一番衝撃的な映像は、隠し撮りで撮ったものではありません」と話すトーマス監督は「それは入管が撮影した収容者が制圧される映像ではないでしょうか」と訴えた。

 立民は昨年の通常国会で、強制退去処分となった外国人の収容長期化の解消を目的とした入管法改正案を提出した。これは難民認定手続き中の送還停止規定の適用回数を制限する一方、入管当局が選んだ「監理人」の監督のもと施設外で生活できるようにするというもの。しかし政府は成立を見送り、衆院解散で廃案になった。

 立民議員は「監督の思いは、これで(映画が上映されて)問題が解決したわけではないんだということで考えさせられました。問題解決に向けて国会で取り上げていかなければいけない意識になりました」と語った。