ゴルフ界の重鎮が成長に太鼓判だ。米男子ツアーメジャー初戦「マスターズ」で史上4人目の連覇に挑んだ松山英樹(30=LEXUS)は、通算2オーバーの14位に終わった。2位から出た3日目に77を叩いて優勝争いから脱落し、最終日も72と伸ばせず。3月上旬に首や肩甲骨周辺に痛みが出て、思うような調整ができなかったことも影響した。

 それでも、日本ゴルフツアー機構(JGTO)元会長の小泉直氏(83=現顧問)は「前年優勝で14位は悪くないと思いますよ」と高く評価する。過去5年の優勝者は2020年のダスティン・ジョンソン(米国)、17年のセルヒオ・ガルシア(スペイン)、16年のダニー・ウィレット(英国)が予選落ちした。それ以外では19年のタイガー・ウッズは38位、18年のパトリック・リード(ともに米国)は36位。調子が悪いなりに、しっかりスコアをまとめたというわけだ。

 さらに、本当の成長はコース外で発揮されていた。開幕2日前の5日夜に前年覇者として「チャンピオンズディナー」のホスト役を務め、歴代王者たちの前で英語でスピーチ。同大会で歴代最多6勝の〝帝王〟ジャック・ニクラウスらを感嘆させたと話題になった。小泉氏は、この行動に着目。昨年の優勝スピーチは日本語だっただけに「立派でしたよ。マスターズの重みを知り、米国社会に溶け込んでいきました。去年ではなく、成長したのは今年」と大絶賛した。

 さらに〝米国化〟はコースでのパフォーマンスにも好影響を及ぼすという。同氏は「これまではどちらかというと、自分の周辺だけの世界が中心という感じでしたけど、米国特有の環境に入り込めたという余裕が生まれたと思うので、ゴルフにプラスになるでしょう」と指摘。メジャー2勝目はもちろん、米ツアーでの勝利(現在アジア勢最多タイの通算8勝)を積み重ねていく上でも、ターニングポイントになりそうな大舞台だった。