独立の〝深層〟は――。ボクシングの亀田三兄弟の三男で元世界2階級制覇王者の亀田和毅(30)が、長男の興毅氏(35)が会長を務める「3150(サイコー)ファイトクラブ」との所属契約を解除。同ジムには次男の大毅氏(33)もトレーナーとして所属しており、兄弟の〝分裂〟が臆測を呼んでいる。両者ともに円満を強調しているが、これまで鉄の結束を誇ってきた三兄弟にいったい何があったのか。本紙が舞台裏を追跡した。

 今回の所属契約解除について、和毅は「現役生活のラストチャンスにかけ、私自身の力でどこまでいけるのかチャレンジしたい。亀田家からも快く送り出していただきました」と説明。一方、会長の興毅氏は「ジムが運営停止を余儀なくされた場合などのリスクヘッジの意味でも二極化することがお互いのため」と理由を明かし「和毅がここまで成長し、自分で考えて行動してくれたことを誇りに思う。自分をはじめ亀田家は今まで同様、和毅を全力でサポートしていきます」と三兄弟の絆を強調している。

 では、なぜ別の道に進む必要があったのか。関係者によると、和毅が長らく抱えてきた感情が背景にあるという。「幼い時からずっと『三兄弟』でくくられてきましたからね。キャリアの最後、そろそろ〝三男の和毅〟ではなく、亀田和毅という一人のボクサーとして勝負したい気持ちがあるんです」(関係者)

 三兄弟は父・史郎氏が育て上げ、興毅氏と大毅氏の活躍によって、それまでボクシングに興味がない人々も「亀田一家」に注目するようになった。しかし幸か不幸か、和毅には常に「三男」の肩書がついて回り、その積年の胸のつかえが独立へと傾かせたようだ。

 さらに、別の関係者は「方向性の違い」も指摘する。デビュー当初から破天荒な言動で世間から好奇の目を向けられた2人の兄に対し、和毅は15歳で単身メキシコに渡るなど独自路線を歩んできた。こうした中、3150ファイトクラブは「ボクシング普及」という興毅氏の信念のもと、昨年末にはお笑いコンビ「TKO」の木下隆行VSノアの丸藤正道、〝少年革命家〟ことユーチューバー・ゆたぼんの試合をマッチメークするなどエンターテインメント路線を打ち出している。

 再び世界王者を目指す和毅としては「別の環境がベストだった」(関係者)といい、2人の兄から離れる決断に至った。とはいえ、関係者は「決して袂を分かったわけではない」と口を揃えて〝ケンカ別れ〟を否定。互いの考え方を尊重し合った結果だという。

 興毅氏は「将来的には双方が成長して強靭な体制となり、より強固な一枚岩になれれば」と今後を見据えるが、果たして三兄弟の〝再結成〟はあるのか。