あなたの話をお聞かせください――。作家で僧侶の家田荘子氏が気になる人物に迫る「駆け込み寺」対談編。今回のゲストは、1998年に起きた和歌山毒物カレー事件で死刑判決が確定した林真須美死刑囚の夫・健治氏と長男だ。長男は昨年、家田氏のユーチューブチャンネル「家田荘子チャンネル」に出演し、数多くの対談の中で最も多くのコメントが寄せられたという。今回、初のユーチューブ共演となった林親子に家田氏が迫った。

 健治氏と真須美死刑囚の間には長女、次女、長男、三女の4人の子がいる。カレー事件の後、児童養護施設でいじめられるなど、事件が子供たちにのしかかり、事件のことを隠して過ごしてきた。

 保険金詐欺で服役中に、子供からの手紙でその事実を知ったという健治氏は「取り返しのつかんことをやったと思ったけど、それは単なる言葉だけ。子供に対して何にもできんかったのが残念」と語った。

 長女は昨年、自身の次女を抱き関西空港連絡橋から飛び降り死した。その直前には、長女の長女にあたる鶴崎心桜さんが全身打撲による外傷性ショックで死亡しているのが発見され、多くのメディアが健治氏と長男のもとに駆けつけた。

 長女らの死は、面会の際に長男から真須美死刑囚に伝えられた。長男は同死刑囚の様子について「涙を流してましたね。(心桜さんの死に)姉が関与している可能性を伝えたら、『私の娘は関与なんて絶対してない。拘置所の中で何もできず、助けてあげられなくてすごく悔しい』と話してました」と明かした。

 家田氏が、カレー事件や保険金詐欺が長女の人生に影響を与えた可能性を問うと、健治氏は「長女の死の原因ははっきり分からんが、僕らのやった悪さが苦になって、尾を引いて飛び降りたんやったら、ものすごい胸が痛い。でも、言葉だけ。何とも言えん」と言葉を詰まらせた。長男もまた事件を抱えながら生きている。家田氏は「長男は結婚を意識した女性がいた。先方のご両親にカレー事件のことを告白して、うまくいかなくなった」と迫ったが、健治氏は「何を言っても言葉だけやから。僕はどうすることもできない」。その真意について「世の中の人がカレー事件も保険金詐欺も同じように思ってる。だから、僕が謝ったら『ほれ見てみ。あいつら(カレー事件も)やっとるやないか』となる」と話した。

 そんな健治氏の姿に長男は「しんみりした会話が嫌いで、つらい、悲しいをしゃべり合う仲でもないんですけど、(気持ちは)十分に伝わってます」と理解を示していた。