歌手郷ひろみ(66)が17日、埼玉・越谷サンシティホールで50周年記念ツアー「Keep Singing」(全59公演)初日公演を行った。

自身のいう“黄金の60代”も後半に差し掛かったが、パワフルなステージは健在。10日に28年ぶりの完全試合を達成し、この日も8回まで完全投球の“52人斬り”を継続中の46歳差、ロッテ佐々木朗希投手(20)の活躍にも刺激を受け、“プラチナな70代”を目指す。

   ◇   ◇   ◇

記念イヤーを飾るツアーは、幕開けから華やかだった。「2億4千万の瞳」で、華麗なターンにおなじみのジャケットプレーで「HERE WE GO~! ジャパ~ン!」とシャウトすれば、「お嫁サンバ」、「GOLD FINGER’99」とヒット曲を畳み掛ける展開で、1600人を一気にとりこにした。

1971年にファンクラブが発足。翌72年8月1日に「男の子女の子」で歌手デビューして、50年を迎えようとしている。「50という数字は大きい。でも僕1人ではなくて、多くのファンの方に支えられたから到達できたのかな」。三十数年続ける週3回のトレーニングで、体形も変わらず。それでも「ずっと当たり前のことを続けてきて、それが意味のあること」と話す。

今なお第一線を走り続けながら、記録的な投球を続ける“令和の怪物”からも刺激を受けている。10日に完全試合を達成した朗希の投球はニュースでチェックしており「完全試合って、すごいですよね! 僕の経験の中でも、自分の中でパーフェクトに歌えたなと思ったのは、数年前に1曲だけ。ある意味うらやましい!」。

数年前のコンサートでバラード曲「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」を歌った時が、郷の唯一の“パーフェクト”だったという。「その時はあまり調子が良くなかったんですけど、だからこそできたのかもしれない。調子が良い時こそ失敗する。自分では得意な『2億4千万の瞳』も『お嫁サンバ』も、ちゃんと戒めなきゃいけないという思いでパフォーマンスしています」と明かしたその心持ちこそ、50年続けてこられた真骨頂だ。

常々「黄金の60代」と言い続けてきた。「10代でジャニー喜多川さんに出会って、郷ひろみが生まれて、積み重ねてきて、熟成したものを出せると思っていました」。60代も後半に差し掛かったが、今回のツアーも“パーフェクト”を目指して走り続ける。「振り返ると10年前のことが、やっと今になって形に表れてきているという気持ち。だから、黄金の先は、“プラチナな70代”だなと。声が続く限りは、郷ひろみをまっとうしていきたい」と前を向いた。【大友陽平】