ロシアに侵攻されているウクライナをめぐって〝折り鶴論争〟が起きている。ある団体がウクライナのために折り鶴をつくったところ、実業家のひろゆき氏(45)が「無駄」、メンタリストのDaiGo(35)が「迷惑」などと疑問視したのだ。ネット民も賛同しているが、別の団体は理解を示した。


 きっかけは、埼玉県の障害者就労移行支援施設の利用者が、ウクライナの人々のためにウクライナ国旗色の青と黄で折り鶴をつくり、東京・港区の在日ウクライナ大使館に届けるという一部記事だった。

 ひろゆき氏は16日、ツイッターにこの記事を添付し、「千羽鶴とか『無駄な行為をして、良い事をした気分になるのは恥ずかしい事である。』というのをそろそろ理解してもらいたいと思ってるのは、おいらだけですかね?」と疑問を投げかけた。DaiGoも17日、ツイッターに「ひろゆきさんの言う通り、ウクライナに折り鶴送るは狂気」「そんな暇あるなら、バイトでもして、ウクライナに海外送金してあげなよと」「千羽鶴にありがたみを感じること自体が日本独自の文化であって、ウクライナの人からしたら、何これ?な話なわけです。相手の気持ちがわからない親切はただの迷惑」とバッサリ斬って捨てた。

 一方、タレントの井上咲楽(22)は18日放送のフジテレビ系「めざまし8」で「何かにやってあげたいという気持ちなので、送った人がそれを聞いたら悲しむだろうなと思っちゃいます」と語った。

 東日本大震災では被災地に折り鶴が届けられて被災者が困惑するケースがあっただけに、ネット民の多くは、ひろゆき氏とDaiGoの意見に賛同している。ただ、2人とも折り鶴をつくったのが障害者就労移行支援施設の利用者だったことに触れていない。

 首都圏のある障害者就労移行支援施設の代表は取材に「こういった施設では経営的に余裕はなく、募金は厳しいです」と語る。在日ウクライナ大使館はツイッターで、ウクライナへの人道支援で寄付を呼びかけているが、障害者就労移行支援施設ではなかなか難しいようだ。折り鶴をつくったのも「障害を持った施設の利用者ができることは何か」と考えれば理解はできるという。

 募金がベターだと分かっていても、施設の利用者の多くは働いて社会復帰を目指している段階で、そもそも稼ぐのは至難の業だ。もちろん、募金ができないのなら、そういった施設の利用者ができる、折り鶴ではない別の方法もあったのでは――という意見も当然出てくるだろうが…。

 前出代表によれば、善意の活動のはずがそれがうまく伝わらず、周囲から誹謗中傷されることがあるという。

 戦地から遠く離れた日本で起きた〝折り鶴論争〟。いずれにしても、誰もが一刻も早い平和が訪れることを願っていることは確かだ。