ロシアの侵攻を受けるウクライナの東部ハルキウの住宅地で「食で人々を救う」活動を続ける米セレブシェフ、ホセ・アンドレス氏(52)の食堂や調理施設が先週末、ロシア軍の砲爆撃により破壊されたことが分かった。

 米オンライン誌「ハリウッド・ライフ」によると、自身が創設したNPO(非営利団体)「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)のスタッフと共に現地入りしているアンドレス氏は17日、この攻撃で仲間4人が負傷したとしながらも、「動揺したが、みんな大丈夫だ」とツイートした。ハルキウ州当局は少なくとも5人が死亡、13人が重軽傷を負ったと発表している。

 アンドレス氏は、ロシア軍による民間人への残虐行為を非難する一方、避難民のために人道支援従事にする人たちを賞賛。「最高の思いやりは、不幸なことに人類にとって最悪の瞬間に示される」とつぶやき、今後も現地で場所を移して調理を再開し、避難民のために食事の提供を続けると明言した。

 WCKは災害被災地で食事を提供するボランティア団体として2010年から活動を始め、17年のハリケーンでは甚大な被害を受けたプエルトリコで被災者を支援し、コロナ禍の米国ではニューヨークやサンフランシスコを含む200都市で計650万食分の温かい食事を医療従事者らに無償で提供。「アメリカンヒーロー」と絶賛された。

 スペイン出身のアンドレアス氏は、ミシュランの星を含む30以上のレストランを世界で運営する「シンクフードグループ」の共同創業者で、〝料理界のアカデミー賞〟とされるジェームズ・ビアード賞などを受賞。米誌「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」にも2度選出されている。