生誕８５周年を迎える国民的歌手・美空ひばりさん（享年５２）が１９７０年に開催したブラジル公演の模様を収めたＤＶＤ　ＢＯＸ「美空ひばり　歌姫が抱いた夢」が、誕生日である５月２９日に発売されることが２０日、分かった。ひばりさんにとって思い入れの強かった、３３歳のときの海外コンサートを初めて完全収録。命日の６月２４日には、「東京フィルハーモニー交響楽団」とのコラボＣＤリリースも決まった。

　ひばり伝説として語り継がれている“地球の裏側”でのステージが、時代を超えてよみがえる。７０年（昭和４５年）８月８日から３日間、サンパウロのイビラブエラ体育館で行われたブラジル公演。２００５年（平成１７年）に当時の貴重な映像が現地で見つかり、日本の制作会社が買い取って、２２年（令和４年）の生誕８５周年を機に、初の完全収録ＤＶＤ発売へと至った。

　日本からの移民が多いブラジルでの公演は、実現までに何度かオファーがあったものの、飛行機嫌いだったひばりさんへの配慮で、スタッフが断っていたという。公演前に現地で会見したひばりさんは、「出迎えてくれたお年寄りが、私を娘か孫のように声をかけてくれる姿を見たとき感激しました」と歓迎に感謝。「私がここに来るという話が、２、３度あったと聞きました。本人の私は全然知らないので、怒ったことがあるのです」と裏事情を明かしていた。

　本番では「柔」「リンゴ追分」など２８曲を熱唱。「人生一路」は作曲者で実弟のかとう哲也さんによる指揮で歌う、現存唯一の映像となっている。長男の加藤和也氏（５０）は「ブラジルで行ってきているフィルムコンサートで、ブラジルの皆さんにご覧いただくのも私の楽しみです」と“凱旋上映”に期待していた。