テレビ東京は21日、定例社長会見を行い、石川一郎社長が4月10日のプロ野球オリックス戦で完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)の次回登板試合となった同17日の日本ハム戦を緊急生中継した件について「本当にうまくできたなと自画自賛しております」と語った。

同局は17日のロッテ×日本ハム戦を地上波とBSテレ東で緊急生中継。地上波では通常は「日曜ミステリー」を放送している午後2時から同3時59分までの放送枠で、佐々木が8回までをパーフェクトに抑えた様子を伝えた。地上波終了の午後4時が近づくと、実況の植草朋樹アナウンサーが、BSテレ東サブチャンネル172の放送延長を繰り返し告知。9回以降は同チャンネルで試合終了まで中継された。

石川社長は「最後まで地上波とBSの連携がうまくいき、視聴者のみなさまに記念すべき試合を放送できたということで、やったなと思っています」とし「佐々木投手が8回まで完全試合を続けていて、9回からはBSにきちんと引き継げましたので、本当にうまくできたなと自画自賛しております」と語った。同試合の地上波の平均世帯視聴率は5・9%(関東地区・速報値、ビデオリサーチ調べ)で、個人視聴率は3・2%。個人視聴占拠率は18・2%で、同時間帯で2番手だった。

斎藤勇総合編成局長は放送を決めた背景についても明かした。佐々木が完全試合を達成した10日の試合はCSや配信といった有料放送のみで、「試合を見たかったというプロ野球ファンの方の意見を多く目にし、なんとか我々で放送ができないかとロッテ球団さんと調整に入った」。確保できた地上波の枠は14時からの2時間のみ。「ほぼ確実に試合の最後までお伝えできないということで、BSテレ東さんと一緒にやらないかとお話をして、グループ一丸となって放送しました」。

同試合でも佐々木の快投は続き、8回までパーフェクトピッチング。「非常に驚いていますし、いい試合を中継できたと思っています」と喜び、今後の試合中継の予定については「全く未定ということです」とした。

5・9%の視聴率は、同じく地上波で放送していた阪神×巨人(テレビ朝日系)の4・2%、DeNA×ヤクルト(TBS系)の1・4%を上回った。斎藤編成局長は「裏にジャイアンツ戦、ベイスターズ戦がありましたが、それよりも高い視聴率でテレビ東京としても驚いています。あらためて良い試合を放送できたなという次第です」とコメントした。

話題性、結果ともに伴った一方で、一部の視聴者からは試合中のCMの多さを指摘する声もあった。緊急生放送ゆえ、日曜ミステリー枠で放送予定のCMをそのまま流さざるを得なかったことなども要因だったが、斎藤編成局長は「非常に多くのお声を頂いております」とし「本当に緊急に対応いたしましたので、その枠でなかなか野球中継に合うCMフォーマットにすることが間に合わなかった。それに関しては今後の番組製作に生かしていきたい」と語った。試合前半にCMを集中させるなど工夫も行ったとし「後半はほとんどCMなしでお送りさせて頂いたつもりでございます」と話した。

最後に石川社長から佐々木へのエールも送られた。「体は細いですが、160キロを超える剛速球を投げますし、令和の怪物と言われているようですが、平成の怪物は松坂(大輔)君でしたっけ。素晴らしい選手が現れたなと思います」とし「プロ野球って面白いなとあの試合を見てあらためて感じることができました。佐々木君のようなスター選手が現れると、リーグそのものが活気づきまずし、プロスポーツの価値も上がると思うので。これからも体の手入れをきちんとして、もっといい記録をつくっていただけたら」と今後の活躍にも期待を込めた。