昨年10月からがん治療のために活動休止していた、キャスター小倉智昭(74)が23日、都内でBS松竹東急の歌番組「小倉智昭の昭和懐かしヒット曲!!~あのアイドルに会いたい~」(5月21日午後6時30分)の収録で、半年ぶりに活動を再開した。

収録前に約50人の報道陣を前に会見した小倉は、5キロ増量したという血色のいい姿で登場。水色のシアサッカーのジャケットに薄いピンクのワイシャツというダンディーな装いで、約40分間にわたって「こんな元気そうだと面白くないね」など“小倉節”を全開で披露した。

小倉は2015年(平27)末に膀胱(ぼうこう)がんと診断され、翌16年5月に内視鏡検査。18年11月には膀胱の全摘手術を受けていた。昨年3月に22年間キャスターを続けたフジテレビ系「とくダネ!」が終了後も、同局の「東京五輪 情報スペシャルキャスター」を務めるなどしていたが、昨年10月にステージ4の膀胱がんが肺に転移したことを公表して、活動休止して治療に専念していた。

昨年10月から抗がん剤点滴による化学療法を4カ月受けた小倉は「膀胱の全摘手術を受ける前に肺に小結節が見つかっていたんだけど、進行が遅かった。若い人でも副作用で治療を続けられなくなることがあるんだけど、幸いにして僕は副作用がなくがんも小さかった」と振り返った。

医師からは「仕事をやってもいいけど、レギュラーではなく単発で、何かあったら休めるものを少しずつ」と指示されたという。

小倉は「抗がん剤の治療だけじゃ難しいので、キイトルーダという薬を6週間に1度点滴する治療を受けています。来週の月曜日に2回目を受けますが、それが効いたら、さらに次の治療法も決まっていて、治験をしようとなっています。肺がんは本当に小さくなったんですけど、進行を防ぐ化学療法をしながらこれからもつき合っていきます」と話した。

昨年の10月に入院する際に体重を増やした。「抗がん剤治療で痩せていく人を見ていたので、入院する前に無理して食べて5キロ増やしました。だけど、副作用がなくて増えたままで、困っています(笑い)。皆さん、やせ衰えてると思っていたでしょうにすみません。太っちゃって」とツヤツヤとした血色のいい顔で笑った。

コロナ禍の闘病は、外出が制限されるため困難がつきまとった。「歩くのも100メートルも行くと筋肉がこわばって休憩しながら。大好きなゴルフもやっていない。家内と一緒に散歩に行くと上り坂ばかり歩かせられるけど、これも長生きするためにはしょうがない。これからも皆さんに迷惑をかけながら、スタッフに苦労をかけながら仕事をしていきたい。テレビやラジオからオファーがあるので、少しずつこなしながら自分のペースで頑張っていきたい」と声を弾ませた。

元気いっぱいの小倉だが、膀胱を全摘した際に腸で“代用膀胱”を作った。「400 CCまでたまるんだけど、腸は神経が通っていないからそれ以上たまると漏れるのでおむつをしている。それが一番つらい。『トイレに男性用のおむつ入れがない』と言っていたら増えたから、少しは役に立ったのかなと思う。収録も、必ず本番中に1回か2回はトイレに行かせてもらう」と話した。

活動休止中もテレビは見ていた。「いっぱい言いたいことはありますよ。病気をしていてもウクライナの人たちの生活を見たら、僕は生きていられるから、まだましなのかもと思った。プーチンの傍若無人をどうにかできないか。ずっと映画とテレビと本、そして音楽を聞いてすごしていました」。

ゴルフ好きとして知られる小倉だが「この前、いっぱいたまっていたゴルフクラブを売りました」。取材陣から「ハウ・マッチ?」と、かつてナレーターを務めたTBS系「世界まるごとHOWマッチ」の決めゼリフにかけて聞かれると「20セットくらいあって、ドライバーだけでも20~30本あった。50万円くらいになりましたが、古いのは安くなる。使えない、自分に合わないと思ったら、すぐ売った方がいいですよ」と笑った。

そして「私と同じようにがんの闘病で苦労している方に、どうやってがんとつき合うか参考になればと努力して伝えていきたい。小倉の復帰を本当に待っていてくれた一部の方々、ありがとうございます。これからも毒舌で行きたいと思います(笑い)。こんなに元気そうに出てきちゃって面白くないね。もっと死にそうだと思っていたでしょ」と小倉節で締めくくった。

「小倉智昭の昭和懐かしヒット曲!!-」は、あいざき進也、麻丘めぐみ、大場久美子、早見優など昭和のアイドルを迎えた特番。