【今週の秘蔵フォト】1970年代前半で庶民派アイドルといえば浅田美代子の右に出る存在はいないだろう。高校2年時に街でスカウトされ、当時大人気を誇った銭湯を舞台にしたドラマ「時間ですよ」第3シリーズで73年2月にお手伝いさん役でデビュー。おっちょこちょいの役どころで一気に人気者となった。

 銭湯の屋根の上で堺正章がギターを弾く横でデビュー曲「赤い風船」をオーバーオール姿で歌う姿は何とも愛らしく、今でも忘れられない方も多いはずだ。「赤い風船」でレコード大賞新人賞を獲得すると、その後も「寺内貫太郎一家」「時間ですよ・昭和元年」などに出演し、久世光彦プロデューサー作品には欠かせない存在になった。

 デビュー年には「ときめき」で映画デビュー。

74年には里中満智子作の人気少女マンガを映画化した「あした輝く」の主演を演じた。74年11月2日付本紙では同作品についてインタビューに応じている。戦後の混乱期を背景としたシリアスなドラマで、16歳から24歳までの女性の成長過程を演じている。

 当時18歳。「困っちゃって。ある程度のことはお母さんに聞けばいいんでしょうけど、そうもいかないこともあるでしょう」。劇中では流産を経験するハードな演技もあり「だけど経験した人にどんなカンジですか?なんて聞くわけにもいかないでしょう。悪くって。(百科事典を調べても)だめなの。流産とは何かと書いてあっても、痛さとかそういうことは書いていないのね。それが分からなきゃダメだし…」と10代で難しい役どころに初めて取り組む苦悩を明かしている。

 さらには「お手伝いのミヨちゃんはイメージ的に変貌を遂げた?」との問いには「ファンの人が見てもビックリするほど変わっていると思います。特に主役だったんでいいかげんなことはできないと思いました。今度のお仕事は大きな土台の一個になると思います」と語っている。

 この3年後の77年に歌手の吉田拓郎と結婚して引退するも、84年に離婚して復帰。現在も現役バリバリで往年の愛らしさは失われていない。