“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介する。今回は、中学の同級生と組んだ男女コンビを解散したため、仕方なく1人でネタを作ったら意外と楽しかったという女性ピン芸人を紹介する――。

 自分の見せ方、知ってるねー――。彼女がテレビのオーディション番組に出て、言われたのがこの言葉です。

【プロフィル】
 芸名‥さとなかほがらか
 所属‥フリー
 生年月日‥1993年1月26日

 芸人として最初にスタートを切ったのは2018年、仲がいい中学校の同級生と組んだ男女コンビ「コンコンパレード」でした。このコンビで、すぐニュースタッフプロダクションに所属します。

 組んだ年にフジテレビの「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」のオーディションに合格しました。このオーディションは5次審査まであり、かなり難しいことで知られているんですが、「お笑いを全く知らない彼氏とお笑いが大好きな彼女」というマニアックなモノマネで存在感を示しました。

 最初としては調子のいい出だしではあったんですが、相方の男性が芸人をやめたため、3年もしないうちに解散。事務所も退所となりました。急な解散で「どうしよう?」と思ったそうですが、ピンネタを作ってみると意外と楽しかったので、とりあえず1人で芸人を続けました。

 個人的には、急にピンになった時は想像以上に大変だと思います。ネタの作り方も変わるし、せっかくコンビとして覚えてもらったのにそれがリセットされる。さとなかさんのように事務所を退所することもありえるし、それまで応援してくれたファンがいなくなるかもしれない。僕は昔、トリオを組んでいたことがあるんですが、ライブに10人ぐらい来ていたお客さんが、解散したらゼロになった経験があります。

 初めてやるピンネタでどうやって笑いを取っていいか全く分からなくなり、ウケなければウケないほどフットワークが重くなり、次第に活動の幅が狭くなってきたりするんです。でもさとなかさんは楽しいだけでなく、ちゃんと人の目に留まるだけのネタのスキルがありました。

 現在もピンで活動しています。「今後、コンビを組むの?」と聞いたところ、「最近はユニットでも活動する方が多くなっているので、たまに組んで出ようかとは思っている」と言っていました。

 そもそもお笑いを始めたきっかけは、ラジオにこっそり投稿するのが好きだったこと。それをやっているうちに、「今度は出る側に回ってみたいな」と思うようになって、お笑い芸人を目指そうと思ったそうです。今はとにかくコントが好きで、一番好きなコント師はシソンヌさんだそうです。単独ライブにチケットを買って見に行くぐらいのファン。シソンヌさんのライブは人気があるので、チケットが取れない時もあるが、「最近は配信もあるので助かる」とうれしそうに語っていました。

 将来の夢を聞いたところ、「阿佐ヶ谷姉妹さんともう中学生さん、ずんの飯尾さんとロケがしたい。テレビで見た時に『ああ、いいなー』って見ちゃうメンバーに囲まれたい。一緒におだんごとか食べたいです! お散歩する番組に出たい」とのことでした。

 さとなかさんがすごいところは、自分を俯瞰で見る能力が他の芸人より高いことだと思います。自分が何をやったら自然に見えるか、何をやったら説得力があるか、よく分かっている。それがうまいなと、私が過去に思ったのは、石出奈々子さんのジブリっぽい女の子のネタと、夢屋まさるさんの「パンケーキ食べたい」のネタでした。さとなかさんにもその能力を感じます。

 芸人をする前は図書館で働いていて、学生のころはチアリーディング部に入っていたこともあるそうです。趣味は裁縫で、東京駅やラフォーレ原宿など、4店舗に卸しているそうです。

 現在はコールセンターでアルバイトをしながら芸人活動をしていて、月に15本ぐらいのライブに出演されています。気になった方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?

 ☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。