映画やドラマの監督を務める小林勇貴氏が28日、インスタグラムを更新し、謝罪文を掲載した。その中で、17年の監督作「ヘドローバ」で、当時中学生だった俳優住川龍珠(18)が殴打されるアクションシーンと、当該シーンについてメイキング映像で語ったことについて、児童虐待との指摘があったことを受けて「誠に申し訳ございません」などと謝罪した。

小林氏は謝罪文の冒頭で

「当時中学生だった住川龍珠さんが殴打されるアクションシーン、さらにそのことをメイキング映像内で軽率に語ったことに関して、Twitter上で児童虐待ではないかとのご指摘をいただいております。本件に関しまして、住川龍珠さんおよび関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを謝罪いたします。誠に申し訳ございません。また、私の謝罪が遅くなったことについても重ねてお詫びいたします」

などと謝罪した。

メイキング映像には、住川が元格闘家の俳優に上からのしかかられ、髪を引っ張られながら頭や顔を殴られるシーンが収められている。当該シーンについて、小林監督は

「撮影に関しては、安全な環境での撮影を心がけておりましたが、演出プランにはなかったアクションが発生してしまいました。当該アクションの発生後、住川さんがむせて咳き込んでしまい、次のセリフが出てこないという状況を見て異常を感じ撮影を止めました。すぐに撮影を止められなかったことは自分の過失です。また、保護者にも事情を説明しご理解いただいておりました」

と、プランになかったアクションがあったことと、住川がダメージを受けているのを見て、撮影を止めたことも明かした。

「なお、メイキング映像に出てくる吐しゃ物はダミーの作り物であり、撮影時に住川さんが実際に吐いたり、大きな怪我をしたりすることはありませんでした」

と住川にケガなどはなく、吐しゃ物もダミーだとも説明した。一方で

「しかしながら当時未成年であった住川さんに対して心の傷を残すことになったことは間違いございません。俳優が児童であろうとなかろうと、今回の件はあってはならなかったこと、そして監督の仕事とは、あってはならない事態が発生することを防ぐのが最重要事項であることを改めて認識すると共に、住川さんおよび関係者の皆様に重ねてお詫び申し上げます」

と住川と関係者に謝罪。さらに

「またメイキング映像やその他のインタビューにおいて今回のアクションシーンを正当化し美化するような軽率な言動を行ったことについても謝罪いたします。申し訳ございませんでした」と自身の軽率な発言についても謝罪した。

「ヘドローバ」に関する批判がツイッター上で加熱したことを受けて、小林氏が製作に関わった今夏公開予定の映画「激怒」(高橋ヨシキ監督)の森田一人プロデューサーは25日「小林氏のクレジットを『激怒』から外すことを決定いたしました」と、フェイスブックとツイッターで報告するなど影響が広がっている。同氏は、小林氏のクレジットを外した理由について「小林勇貴氏の過去作品の制作現場での『演出』が問題となっています。まったくもって言語道断であり、容認できようはずもありません。我々は事態を重く見ており、小林氏のクレジットを『激怒』から外すことを決定いたしました」とした。

小林氏は「激怒」でプロット(あらすじ)をまとめる作業に参加しており、そのため「原案」としてクレジットされていたが、森田氏は「演出(撮影現場)には一切関わっておりません」と説明した。