巨人の桑田真澄投手チーフコーチ(54)が28日のDeNA戦(横浜)に先発し、6回無失点の好投でプロ初勝利を挙げた山崎伊織投手(23)をたたえた。

 山崎伊は序盤からテンポのいい投球でDeNA打線を圧倒した。初回を桑原、佐野、ソトと3者連続内野ゴロに打ち取って好発進をすると、その後も凡打の山を築いた。5回こそ二死から戸柱に右翼線への二塁打、柴田に四球を許して、この日初めて走者を2人ためる展開となったが、最後は打率3割台と好調の代打・藤田をニゴロに打ち取って危機を脱した。

 6回までに許した安打はわずか3本。打線も初回に主砲・岡本和が放った3試合連発となる先制の9号2ランなどから大量リードを奪えば、右腕自身も6回にプロ初適時打を放って自ら援護点を奪い取り、危なげない試合展開とした。

 東海大4年時に、この日戦った横浜スタジアムで負傷。トミー・ジョン手術にまで踏み切った〝因縁〟の球場で勝ち取った勝利に、右腕自身も感慨深げな様子だった。「初めての球場じゃなかったので、懐かしいなと。ここでケガをして手術して、ここで初めて勝てた。すごくうれしいです」。

 桑田コーチは自らも現役時代に同手術を経験したこともあり、その苦労や胸の内は人一倍わかる。「手術明け、1年目という事で、おそらくたくさん投げられないという事のストレスはあると思うんですね。でも今年はしっかりと球数と登板間隔を空けていくというのが大事になってきますので。何とかこの1年、継続して乗り越えてもらえれば、来年からはローテーションをきっちり回っていけると思うので。先発としての大事なことを学んでいってもらいたいなと思います」と、ケガ明けの右腕の心情を理解しながらも、今季の課題について言及した。

 29日以降はいったん登録を抹消し、ファームで調整しながら次戦登板に臨む予定。苦難を乗り越えて一皮むけた山崎伊の活躍に、今後も目が離せない。