フィギュアスケートのアイスショー「プリンスアイスワールド」が29日、神奈川・KOSE新横浜スケートセンターで行われ、引退した平昌五輪代表の田中刑事氏(27)がプロスケーターとして第一歩を踏み出した。

 今月11日に引退表明し、初めて氷上に姿を見せた田中。この日は「ショパンの夜に」を演じ、会場から拍手喝采を浴びた。万感のスケーティングを見せた後、取材対応では「皆さまのおかげで幸せな競技人生でした。本当にありがとうございました」と感謝の言葉を並べた。

 競技人生を振り返った田中は「ほとんどは苦しい時間だったと思う」。楽しかった思い出は「一瞬だけだった」「1年に1、2回あるかぐらい」と明かしたが、その中で「折れずに最後まで続けてこられたことは、これからの糧になる」と話した。

 最も印象に残った試合を問われると「その質問、言われるだろうと思って用意していたんですけど、何も思い浮かばなかった」と苦笑。その理由は「どの試合も何かしらエピソードがある」「どの試合も思い出を語れと言われたら語れる」というもの。五輪出場についても「意外と薄いんですよ…思い出が」と笑みを浮かべながら「あの光景、リンクに立った時の光景を思い出しますし、今でも忘れないですが、やっぱりそれだけじゃないです」と続けた。

「あの試合と同じくらい、いろんな試合で声援をいただけたし、一番は決められない。オリンピックもかすんでしまうほど、他の試合でも応援されてたことを実感しながら滑っていました」

 充実の現役生活を終え、今後はプロスケーターと指導者として第二の人生を歩む。