山梨県警は29日、道志村山中の捜索で、2019年9月に行方不明になった小倉美咲さん(9=千葉県成田市)のものと似ている子供用の靴の左足側を発見した。28日に見つかった右足側と同じメーカーで、色やサイズが一致している。また靴下の片方も見つかり、関連を調べる。

 左右両方の靴と靴下の片方の計3点は、数メートルの範囲内で見つかっていたことが捜査関係者への取材で判明。最初に人骨の頭の一部が発見された地点とやや離れており、骨があった沢の上流に当たる場所だった。
 新たに見つかった左足側のサイズは20センチで、色はエメラルドグリーンに類似しており、いずれも右足側と同じ。当時美咲さんは花柄の靴下をはいていたといい、今回見つかった靴下の色や大きさの詳細を調べている。

 美咲さんは19年9月、母親と友人家族らで訪れたキャンプ場で行方不明となった。今月、子供の頭部とみられる人骨の一部がキャンプ場から約600メートル東付近で見つかり、その後の捜索で右足側の靴を発見した。

 美咲さんの母とも子さん(39)は29日午前、現地で報道陣の取材に応じ「娘のものと信じたくない」と声を詰まらせながら話した。

 靴などは詳細な鑑定結果が出るまで美咲さんのものと断定できない。それでも、19年9月21日から同年10月6日まで16日間、延べ1700人による大規模捜索が行われた場所からなぜ発見されたのか。
 元警視庁刑事の北芝健氏は「人海戦術でやると“見落としスポット”ができてしまうことがあります。急斜面や水没した場所だと、『ここには立ち寄らないだろう』と軽視しがち。逆に見通しがよい場所だと、『人がこんなにたくさんいるんだから、誰かが調べただろう』と目視だけで済ませがち。別の現場での経験ですが、他人を絶対に信用しない人が遺留物を見つけることが多かった。人海戦術の時は不注意にならないように共有意識を持つことが重要なんです」と指摘する。

 靴が当時からあったのかどうかは不明だが、大規模捜索では意外な落とし穴もあるというわけだ。