元ザ・ビートルズのポール・マッカートニーが、28日(日本時間29日)からワシントン州スポケーンで新ツアー「Got Back」をスタートさせ、アンコール1曲目で故ジョン・レノンの映像を大型スクリーンで流しつつ、ビートルズ時代の「アイヴ・ガッタ・フィーリング」を〝デュエット〟した。

 同曲はラストアルバム「レット・イット・ビー」に収録されており、アンコールに登場したポールは「君達のためにちょっと特別なものを用意したんだ」と語るや、ステージ後方に設置された特大スクリーンに、69年1月ロンドンの「ルーフトップ・コンサート」で同曲を歌うジョンのパフォーマンス映像を流して、デュエット。約53年ぶりのサプライズ共演となった。

 この映像は昨年11月に公開されたザ・ビートルズのドキュメント映画「ザ・ビートルズ:Get Back」のピーター・ジャクソン監督が特別編集したもので、ツアー前にジャクソン監督から「僕ら、ジョンの声を抽出できる。彼が君と歌えるよ」とのメッセージが届いた際に、ポールは「Oh、yeah!」と答えたという。

 ビートルズはジョンの没後にリリースされた「アンソロジー1」(95年)で、ジョンが残したボーカルトラックに他のメンバー3人が演奏と声を加えた「フリー・アズ・ア・バード」、また「アンソロジー2」(96年)では同様の形式で「リアル・ラブ」を発表しているが、ポールのライブでジョンとの〝デュエット〟が実現したのは初となった。

 亡くなったメンバーが歌う映像をスクリーンで流しデュエットする方式は、ザ・ビーチ・ボーイズ(故カール・ウィルソン、故デニス・ウィルソン)や、ザ・フー(故キース・ムーン)など同世代のバンドがすでに実践しているが、今後もポールとジョンの〝デュエット〟は実現するのか。さらに新たなバージョンも出てくるのか――。ぜひ日本公演も実現させて、披露してほしいところだ。