東京・歌舞伎座で2日、「團菊祭五月大歌舞伎」が初日を迎えた。明治の名優、9代目市川團十郎と5代目尾上菊五郎をたたえる吉例興行で、3年ぶりに復活した。第2部で、市川海老蔵が歌舞伎十八番の「暫(しばらく)」に、当代菊五郎が「土蜘(つちぐも)」に出演した。

「暫」は昨年の東京オリンピック(五輪)開会式で一部披露され話題になった。つらねと呼ばれる花道での長ぜりふで海老蔵は「久方ぶりの歌舞伎座だ」「オリンピックの開会式より1年ぶりのこのこしらえ」「筋を通すはおやじ譲り」など節に乗ったせりふを披露し沸かせた。

音羽屋の家の芸である「土蜘」には、菊五郎、菊之助、丑之助の親子孫3代がそろった。武勇にすぐれた源頼光を菊五郎が、学僧で実は土蜘の精を菊之助が演じた。菊五郎はこれまで同演目で、子役や侍女、土蜘の精も演じている。さまざまな経験を踏まえ「菊之助の土蜘の精がやりやすいようにつとめたい」と話した。中村時蔵、梅枝、小川大晴君の萬屋3代もそろい、菊五郎は「ありがたいです」としている。

第1部は「祇園祭礼信仰記 金閣寺」「あやめ浴衣」、第3部は「市原野のだんまり」「弁天娘女男白浪」など。27日まで。【小林千穂】