驚異のルーキーが現れた。ボクシングのアマチュア5冠の超新星・但馬ミツロ(27)が先月29日に行われた「3150ファイトVol・2」(大阪メルパルクホール)のヘビー級8回戦で韓国同級3位のキム・サンホを1R56秒TKOで下し、衝撃のプロデビューを飾った。

 この試合は元世界3階級制覇王者・亀田興毅氏(35)が会長を務める「3150ファイトクラブ」主催のイベント。日本で存続危機にあるヘビー級ボクサーとして強烈な存在感を見せた但馬に対し、興毅氏は「日本で誰もがなし遂げたことのない世界チャンピオンにたどり着くんじゃないか」と期待を寄せている。

 日本人の父、ブラジル人の母の間に生まれた。中央大時代はライトヘビー級で2014、15年の全日本選手権を連覇。興毅氏が「身体能力がエグい」というように、テコンドー黒帯、蹴りも寝技も万能だ。「地球上で一番ケンカが強い男になれる」(興毅氏)とポテンシャルは底知れない。

 そんな但馬に憧れの選手を問うと、間髪を入れず「マイク・タイソンです!」と即答。伝説の元世界統一ヘビー級王者について「自分と同じくらいの身長で活躍していた選手。僕もアマチュアのころから自分の階級ではずっと背が低いほうだった。小さいころから自然と自分とタイソンを重ねていました。大好きな選手です」と目を輝かせる。

 190センチと言われるヘビー級の平均身長を考えると、身長178センチのタイソン、180センチの但馬は明らかに低い。その体格的なハンディを補って余りある俊敏なパンチが共通点。1Rからボディーとフックを連打して〝秒殺KO〟した前述の試合は、まさに全盛期のタイソンを彷彿とさせた。

 現在、日本のヘビー級には王者はもちろん、ランカーも不在。そのため但馬はスパーリング相手を探すのも困難な状況。他競技の格闘家なども視野に入れながら練習を積み、8月の大会「3150ファイトVol・3」をステップに世界へ羽ばたくつもりだ。

「僕が日本のヘビー級の道を切り開く第一人者。責任感もあるし、自信もあります」(但馬)

 日本ボクシング界に〝奇跡〟は起きるか。