小栗旬さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)第17回「助命と宿命」が5月1日に放送され、源義高(市川染五郎さん)の悲劇的な“最期”が描かれた。同回では、義高を殺(あや)めた藤内光澄(長尾卓磨さん)も処刑され、義高をそそのかして謀反をたくらんだという罪状で、一条忠頼(前原滉さん)も粛清されるなど凄惨(せいさん)さを極めた。劇中「鎌倉は恐ろしい所」とのせりふもあったが、その中心に君臨するのが源頼朝(大泉洋さん)だ。ここにきて一層ダークさを増し、SNS上では「頼朝嫌い」の声も多数上がっているが、小栗さんに、頼朝を支える北条義時役への思いを聞いた。
ウナギノボリ
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女性にだらしない面もあるが、冷酷な命令を下すことにためらいのない今作の頼朝。長く孤独な生活を送ってきたため、他人には決して本心を明かさない心に闇を抱える人物としても描かれている。一方で、義時には、挙兵する前から「お前はわしの頼りになる弟じゃ」と平家打倒の悲願を打ち明けるなど、ほかの誰よりも信頼を寄せてきた。
義時は、そんな頼朝の思いに応えるように従ってきたが、あまりにも冷酷な命令を下す頼朝に、最近では顔を曇らせることも多い。義時が頼朝に付き従うモチベーションは何なのか、役を演じる小栗さんはどういう思いなのだろう?
「義時が頼朝に付き従っている理由の一つとしてはまず、兄・宗時(片岡愛之助さん)の『坂東武者の世を作ってその上に北条が立ちたい』という気持ちを継いでいるからからだと思います」という小栗さん。第5回「兄との約束」(2月6日放送)で、志半ばで散った兄・宗時の野望が、義時の一つの行動指針になっているという。
「でも、宗時の遺志を継いでいくというモチベーションだけで、ずっと頼朝に従っていたのかというと、そうではないと思います。だんだんと頼朝に対して『この人を支えなければならない』という気持ちが強くなっていったと思うんです」と、徐々に義時の中で、頼朝に対しての情が芽生えていったと説明。
その上で「納得のいかないことも、なぜその選択をしなければならないのかっていうこともあったけれど、いつになっても誰のことも信用できないでいる頼朝のことを、『自分がこの人を裏切ったら全てが崩れてしまうんじゃないか』と思って、支えることを決意したんじゃないかな。そういうところがうまく(視聴者に)伝わったらいいなと思って演じてきました」と思いを明かした。
物語の中盤に向けて、今後の義時は「シビアな決断を毎回迫られる状況になっていきます」という。
「これまで振られていなかったような仕事を、だんだんと振られていくようになって。その積み重ねによって、徐々に徐々に(義時の中で)迷いが減っていく。その中で北条が生き残る決断をしていく結果、以前、三浦義村 (山本耕史さん)に『頼朝に似てきてるぞ』ってせりふが効いてきます。義時がどこから迷うことをやめるのか、そこはみんなで丁寧に作っています」と述べた。
「鎌倉殿の13人」は61作目の大河ドラマ。脚本は、2004年の「新選組!」、2016年の「真田丸」に続き3度目の大河ドラマ執筆となる三谷幸喜さんで、後の鎌倉幕府の二代執権・義時が主人公。野心とは無縁だった若者が、いかにして武家の頂点に上り詰めたのかを描く、予測不能のエンターテインメント作だ。
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