フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(16=ロシア)を巡るドーピング問題で新展開だ。

 ワリエワは2月の北京五輪期間中に、禁止薬物トリメタジジンが検出されていたことが判明して大騒動に。その後出場こそ許可されたが、成績は暫定的なものとなっており、最終的な裁定に向けて調査が継続されている。

 世界反ドーピング機関(WADA)はロシア反ドーピング機関(RUSADA)に対して8月8日までに調査を終わらせるように求めており、この調査内容がワリエワの運命を左右することになる。

 しかし、この調査に対して、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のサラ・ハーシュランドCEOが突如として重大な懸念を表明。その理由は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による〝ある発言〟だ。

 五輪専門メディア「インサイドザゲームズ」は「ハーシュランドは、プーチンがワリエワのパフォーマンスについて『不正によって達成できるものではない』と主張したことで、ワリエワの禁止薬物陽性に関するRUSADAの調査に懸念を表明した」と指摘した。

 プーチン大統領は、4月末に開催された式典でワリエワのドーピング問題にわざわざ言及して「あのような(演技の)完ぺきさは、薬物の投与や不正によって達成できるものではない」と強く擁護した。

 ハーシュランドCEOはこの発言を問題視。米紙「ワシントン・ポスト」によると「プーチンがワリエワを擁護しているというニュースを見て、疑問を抱いている。調査プロセスが完了する前に、彼(プーチン大統領)がワリエワを擁護している場合、プロセスの周囲ではどのようにインテグリティー(倫理的な誠実さ)が保てると考えられるのか」と今後の調査に影響が出ることを危惧。プーチン大統領の発言がRUSADAに対して〝圧力〟となって働き、その意をくんでワリエワ有利の調査内容になってしまう可能性があるというわけだ。

 世界中が注目するワリエワのドーピング問題が風雲急を告げている。