大相撲夏場所(8日初日、東京・両国国技館)で、東大から初の力士を目指す須山穂嵩(24=木瀬)が前相撲で初土俵を踏む。

 東大入学後に相撲部を見学して興味を持ち、競技に熱中。入学当初は外務省の官僚や商社マンになる将来を思い描いていたが「もっと強くなりたい」との思いから入門を決めた。現在は文学部哲学科4年生。当面は力士と二足のわらじを履きながら、来年春の卒業を目指す。

 学歴が通用しない番付社会を生き抜くのは、簡単なことではない。須山が相撲を始めたのは大学からで、練習は週に3回。経験者が集まる私学強豪との実力差は歴然としている。実際、これまでに国立大出身の力士は4人だけ。一ノ矢(琉球大)、弓の里(高知大)、舛名大(名古屋大)は三段目が最高位。現役の庄司(埼玉大)も三段目で、関取は誕生していない。

 それでも、大成しないと今から決めつけるのは早計だ。1日8時間に及ぶ猛勉強に取り組み、3度目の挑戦で東大合格を勝ち取った努力家。大学では30キロ以上を増量して104キロの体をつくり上げた。

 周囲に流されず、エリートコースを外れて裸一貫で角界へ飛び込んだことにも意志の強さがうかがえる。「東大なので〝東大関〟を目指して頑張ります」と語る異色力士の挑戦に注目だ。