米コメディアンのデイヴ・シャペル(48)が3日、米ロサンゼルスのハリウッドボウルで行われたコメディーイベントで、ステージ上に乱入した男に襲われる事件が起きた。このイベントには、アカデミー賞授賞式で俳優ウィル・スミスに平手打ちされたクリス・ロックや同授賞式で司会を務めたエイミー・シューマーを始めジェイミー・フォックスやケビン・ハートらトップコメディアンが集結していた。

一部観客が、男が突然ステージ右手から現れてシャペルをタックルする様子を撮影した動画をSNSに投稿している。男は警備員によって取り押さえられる様子も映っており、ロサンゼルス市警察は23歳の容疑者を凶器を用いた暴行罪で逮捕したと複数のメディアが伝えている。

米NBCニュースによると男は発射するとナイフの刃が突き出る仕組みのレプリカ銃を持っていたというが、実際に武器で襲撃しようとしていたのかどうかは不明で、シャペルは負傷していないと伝えている。

人種差別や社会問題などをテーマにした手厳しいトークが売りのシャペルは、ネットフリックスで配信が始まった特別番組の中でトランスジェンダーに関するジョークを披露して物議を醸していた。

会場にいたジャーナリストによると、襲撃される直前にシャペルはこのジョークが原因で身の危険を感じており、「もっと警備が必要だ」と語っていたという。襲撃直後の動画では、落ち着きを取り戻したシャペルが「トランスマンのジョークだ」と語る様子や、フォックスがステージに再び登場してその場を取り繕う様子なども映っている。また、ロックもステージに再登場して、「ウィル・スミスだった?」と自身のビンタ騒動をネタにしていたとABCの記者はツイートしている。

容疑者は3万ドルの保釈金を支払い釈放されたというが、動機などは明らかになっておらず、金属探知機が設置されている会場にどのように凶器を持ち込んだのかも分かっていないという。(ロサンゼルス=千歳香奈子)