なぜ経営者はリングに立つのか? プロではないアマチュアの格闘技戦が多くの団体で行われている中、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(49)の提唱で始まった素人異業種格闘技「hatashiai」はこの数年、経営者の参戦が相次いでいる。

 格闘技未経験の青汁王子こと起業家の三崎優太氏(33)や、元マネーの虎でLUFTホールディングス会長の南原竜樹氏(61)、国政政党党首の立花孝志氏(54)らがリングに上がり、メインイベンターを務めた。

 メイン以外でも毎回、多くの経営者が参戦している。7日に行われた大会では、りらくる創業者で、T’sインベストメント会長の竹之内教博氏(45)が来場。練習を始めて1か月半という赤汁王子こと経営者の上村翔氏(35)の善戦ぶりに「僕もやれる可能性があるってことですよね」と参戦に色気を見せた。

 おカネも地位もある経営者が続々と名乗り上げる状況について、hatashiaiの古賀真人GM(43)は「キックボクシングは、他のスポーツよりも短時間で上達を実感できる。忙しい経営者でも時間を効率的に使えるかつ、健康的な側面がある」と指摘する。

 さらに同大会では新日本プロレスなどでリングアナを務めた田中ケロ氏がマイクを握る。「僕らの世代だとプロレスやロッキーにあこがれ、誰しもが入場曲をバックにリングに立ちたい願望がある。これは目立ちたい、承認欲求というのでもない」と、お金では買えないシチュエーションも理由の一つだという。

 一方で、格闘技挑戦の“反動”は大きかった。素人格闘技では3月に行われた「BreakingDown」で、三崎氏が眼窩底骨折を負い、素人がリングに立つのは危険との批判も絶えない。

 古賀氏は「hatashiaiの場合は防具や(ダメージを軽減する)ドラグローブ、ルールなど運営面で安全第一に考え、素人でも戦える場をつくった。これまで大きな事故は起きていない。この年で格闘技は無理というのがなくなった」と胸を張る。

 試合に向けてはジムやプロ選手の指導を仰ぎ、話題にもなるため、結果的にプロ格闘技界への相乗効果も生んでいる側面もあるという。