先発陣が順調そのものでも期待度はまったく失われていない。ソフトバンクV奪回のピースとして武田翔太投手(29)の復活が待ち望まれている。

 現在、チームは7連勝中。好調な打線だけではなく、先発陣の安定が大きい。11日の西武戦(ペイペイ)では東浜がノーヒットノーランを達成。ハーラートップタイの4勝目をマークした。エース・千賀は負けなしの3勝で防御率1・26、規定投球回に未到達ながら石川も負けなしの2勝で防御率0・71を誇っている。

 ここに若手が加わってきた。この連勝中にはプロ初勝利を挙げたばかりの左腕・大関が初完封で3勝目をマーク。剛腕・杉山も先発初勝利を挙げた。ベテラン・和田、期待の若手・田上、ロングリリーフに回っているレイも控えている。

 そんな中で首脳陣が気にかけるのが武田だ。現在の充実ぶりを受けて斉藤投手コーチは「あとは武田だけですね。心配なのは」と自ら切り出す形で言及。「若手とベテランの間に位置している。あいつが復帰して(ローテの)固いところに入ってもらわないと。やってもらわないと困る思いがある」と力を込めた。

 今季の武田の一軍登板はない。キャンプ中に右肩付近に違和感を訴え、広背筋付着部炎と診断されて離脱。4月20日に実戦復帰したのもつかの間、新型コロナ陽性となる不運に見舞われた。発熱などの症状もともなったことからリハビリ組から再び立ち上げている。一軍登板となれば1か月近く要することが予想される。

 ただ、それでもキャンプ時から調子の良さを示しており、復帰登板でもさすがの投球を見せた。故障が重なるなどして2桁勝利も2016年から遠ざかっているものの、球団が昨オフに4年契約を結んだように、今季こそはとの期待は大きい。

 現在、首位・楽天と3ゲーム差のソフトバンク。まだまだシーズンは長い。武田の復活がVへの追い風となるのは間違いない。