急逝した「ダチョウ倶楽部」の上島竜兵さんと30年来の友人である、全日本プロレスの元3冠ヘビー級王者で“デンジャラスK”こと川田利明(58)が、上島さんの人柄をしのばせるエピソードを明かした。

 上島さんと川田の付き合いは、川田が「四天王」として台頭してきた1990年代前半から、食事をともにするなどして交友を深めてきた。「テレビで見るあのままの性格の人だった。明るくて楽しくて…。とても楽しい酒だった」と川田は沈痛な表情を見せた。

 数多くの酒席で忘れられない光景がある。二十数年前、ダチョウ倶楽部が群馬でライブを行った際、川田も会場を訪れた。帰路は車で、上島さんを川田の故郷・栃木市のすし店に案内したという。そこで1人の酔客が絡んできた。新聞紙の切れ端を差し出して「サインをくれ」とせがんできたというのだ。

 さすがに川田も「それは失礼でしょう!」と怒りながら相手をたしなめたが、上島さんは「いいんだよ、いいんだよ」と川田をなだめながら小さな紙の切れ端に笑顔でサインに応じて、握手まで交わしたという。「俺だったら割り箸の袋でも怒ってた。芸人として人間として器が大きかった」と川田は振り返った。

 2020年3月に亡くなった志村けんさんに上島さんを紹介したのは川田だったことは有名な話だが、「志村さんにとっても竜ちゃんにとってもお互いによかったんじゃないかな。ウィンウィンの関係とでもいうのかな。その結び付け役になれたのは、いいことだったのかなと思う」と語った。

 実は10年に川田が飲食店(東京・世田谷の「麺ジャラスK」)を始めてからは、忙しさで約10年ほど会っていない時期が続いた。それでも2年前に志村さんが亡くなった時は「一緒に志村さんの思い出を語りながら飲みたかった。あの時は本当に会いたいなと思ったよ。コロナがあったから実現しなかったけど…。それが残念でならない。もう一度、飲みたかった」と声を振り絞った。

「何も正式に発表がないし、状況も分からないから本当は何も言いようがない。信じられませんが心からご冥福をお祈りいたします」とデンジャラスKは、無二の親友の急逝に哀悼の意をささげていた。