フランスで来週始まるカンヌ国際映画祭の事務局は12日(日本時間13日)、ウクライナに侵攻したロシア軍に殺害されたリトアニア人映画監督、マンタス・クベダラビチュスさん(当時45)が撮影した作品「マリウポリ2」を上映すると発表した。

 ロシアがウクライナ南部クリミアを併合した2014年、同国東部ドンバス地方では親ロシア武装勢力による攻撃が始まり、クベダラビチュスさんは現地入りして紛争に巻き込まれた一般市民の生活を描いたドキュメンタリー映画「マリウポリ」を撮影し、16年に発表した。

 米芸能誌「ハリウッド・リポーター」によると、その続編を撮影するため同地方ドネツク州の要衝マリウポリ入りして撮影をしていたが、ロシア軍により4月2日に殺害された。映像はクベダラビチュスさんと共に現地にいた婚約者ハンナ・ビロブロワさんが持ち帰り、スタッフと共同で編集し、「マリウポリ2」を完成させた。

 同映画祭事務局は、同作を上映することは必要不可欠で、上映リストに追加したとのコメントを発表。19日と20日の上映が決まった。カンヌはロシアのウクライナ侵攻を正式に非難し、ロシアを今年の映画祭から排除している。

 同映画祭は17日に開幕し、28日まで開催される。