巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(47)がアフリカ野球を支援している。昨年12月に始動した「アフリカ55甲子園プロジェクト」の趣旨に賛同し「J―ABSエグゼクティブ・ドリームパートナー」に就任。「アフリカの少年少女とキャッチボールをしたいです」と、同活動に一役買っているが、現在はどうなっているのか。代表理事を務める友成晋也氏を直撃した。

――プロジェクトの現状は

 友成氏 昨年12月にタンザニア甲子園を開催し、今年は5月にナイジェリア、ガーナ、7月にケニア、タンザニアで育成プロジェクトを。ナイジェリアを訪問する時には、チームの練習風景を松井さんに(リモートで)見てもらい、アドバイスを動画で送ってもらい、練習することも予定してます。

 ――なぜ野球なのか

 友成氏 アフリカではサッカーが有名ですが、全員がサッカーに向いているとは限りません。不向きな人がスポーツでの喜びを得られないのは不平等ですよね。また野球はみんながバッターボックスに立て、注目を浴びることのできるスポーツです。他にそういうスポーツはないんじゃないかな。

 裸足でティー打撃をする女の子(J―ABS提供)
裸足でティー打撃をする女の子(J―ABS提供)

 ――松井氏とはもともと知り合いだったのか

 友成氏 まったく知り合いではなかったです。松井さんが書かれている本を28冊読み研究しました。どこで生まれ、どこで柔道をやって、この川でザリガニを捕ったのかなど現地に行って同じ景色を見てきました。最終的には松井さんにアプローチするため、JICA(ジャイカ=国際協力機構)を退職しました。松井さんはFA権を行使した時、読売巨人軍から7年で56億円を得る権利を捨ててメジャーリーグに行った。自分もJICAを辞めないと本気度を疑われると思い決断しました。

 ――初めてプロジェクトのプレゼンをした時の松井氏の反応は

 友成氏 思いのほかこのプロジェクトに関心を示してくれて。「小学校の時にテレビでアフリカの映像を見て、いつかアフリカに行って生で動物を見てみたいと思っていたんです」と言ってくれたんです。そして「なんでアフリカでは、サッカーがあんなに広がっているんだろう。野球もサッカーみたいに広がればいいのに」とも言ってくれて。夢を共有できたんです。

 ――今後、目指すところは

 友成氏 オリンピックに挑戦することでアフリカでの野球の知名度を上げること。もう一つは3年に1回行われるTICAD(アフリカ開発会議)の年に、アフリカで東西南北の代表チームからベスト8を選出して、そのチームを日本に招く。そして日本の甲子園大会が終わった後にアフリカの人々による甲子園大会をやりたいと考えています。アフリカでやっている限り「遠い国で何かやっている」くらいにしか思われないんですよ。日本でやることによって、注目も集まるんじゃないかなと思っています。

【川上憲伸氏もサポート】

松井氏だけではない。J―ABSは元中日・川上憲伸氏(46)のプロジェクトサポーター就任を11日に発表。5月21、22日に、ナイジェリアで野球の技術や知識に加え「規律を守る」「相手を尊重する」など日本の野球道を教える「人づくり野球セミナー」が開催されるという。セミナーでは、松井氏、川上氏によるオンラインでの指導も行われる。

 事前に撮影したナイジェリアの選手たちのバッティング映像を、ニューヨークから松井氏が確認し、注意点や改善点などを指摘。その映像を当日、現地で指導者や選手たちが視聴する予定。川上氏はオンラインで日本から技術指導や質問に答えるなど、双方向の指導にチャレンジするという。