ウクライナの国民的歌手のチーナ・カーロリが15日、招聘した楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長とともに湯崎英彦広島県知事を表敬訪問。原爆ドーム、広島平和記念公園、広島平和記念資料館を訪れた。

 湯崎知事との会談の中で、カーロリは「広島に原爆が投下されて70年以上が経ちました。現在、ウクライナそしてヨーロッパの国々では核戦争の脅威と戦っています。それは私たちが自由を選んだからです。今、ここ広島から、私は皆さんに、核戦争の脅しは許しがたいということを伝えたいと思います」と広島を訪問した意義を説明。

 続けて「私たちは小さな国です。核戦争は許されるものではありません。私たちウクライナ人は、自分たちの土地を守ることを諦めません。私たちはたくさんの命が奪われる、この暴挙を止めなければなりません。平和の象徴の地であるこの広島から、私はメッセージを送りたいと思います。そして、約80日もの間、支援もなく戦っているマリウポリの兵士についても、戦争終結のためのサポートをしたいと思います」と訴えた。

 カーロリの決意を聞いた湯崎知事は「広島は平和のハブであり、その地からチーナさんがメッセージを発信することは非常に重要で、ウクライナの人々をはじめ世界の人々がそのメッセージを受け取られることを願います。三木谷さんには、チーナさんを広島へ招待してくれたことについて感謝します」。

 三木谷氏は「チーナさんは素晴らしいアーティストであり、彼女が世界に向けてメッセージを発信することは重要なことです。チーナさんを快く受け入れてくださった広島県に感謝します」と話した。

 歌手や女優、テレビ司会者としてマルチに活動するカーロリは、2017年に大統領令によりウクライナ国民を代表するアーティストに選ばれ、20年にはゼレンスキー大統領から聖オリガ公妃勲章(オリガ妃の名を冠した女性に与えられる市民勲章)が授与された。主要SNSでの総フォロワー数は300万人を超え、同国の雑誌が選ぶ「ウクライナで最も美しい女性」に3回の選出されたこともある。