元大阪府知事の橋下徹弁護士が16日、「めざまし8」(フジテレビ系)に出演し、山口県阿武町が新型コロナの給付金4630万円を誤振り込みし、振り込まれた男性が返還に応じていない問題について言及した。

 阿武町は先月8日、コロナ禍支援として463世帯に10万円を臨時特別給付金を給付するはずだったが、誤って男性(24)に全額振り込んだ。町は返金をお願いしたが、男性は応じず「弁護士に相談する」「お金はすでに動かした。もう戻せない。犯罪になることはわかっている。罪は償う」などと話した後、勤務先も辞め、連絡も取れず、行方をくらましたという。

 阿武町の町長などによると、男性の口座から先月8日に60数万円が移動され、1週間後に2000万円が移動され、2週間後までに約4600万円が2つの国内の銀行に移動されたという。

 これを受け、町は男性を提訴。町が勝訴する可能性が高いとみられるが、問題の金を使った資産がない場合や、口座が分からない場合は回収が不可能になる可能性もある。

 今月12日に町はホームぺージや広報誌で男性の実名を公表。今週中にも被害届を警察に出す方針で、刑事的には詐欺や窃盗、電子計算機使用詐欺、単純横領などの罪に問われる可能性もある。

 番組のコメンテーターを務める元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は逮捕の可能性を指摘したうえで「返還が一切ない場合は懲役3年前後の実刑、半分程度の返還で懲役2年ほどの実刑になる可能性がある」と解説。

 ところが、生出演した橋下弁護士の見解は「いろんな意見が分かれます。窃盗罪と単純横領罪は成立しないんじゃないかというのが僕の考え。民事上は誤振り込みでもその人の預金として有効だという判決もある。若狭さんは元検察官の立場で実刑だと言うんですが、僕ら弁護士の立場だと、これは半分を弁償して執行猶予を取りにいく案件になるんじゃないか」というものだった。

 さらに「彼は半分返せば、執行猶予となれば半分は手元に置ける。ということもネットの情報で山ほど出てくる。執行猶予となるのは確実ではありませんが、いろんな情報の中でこういう道を考えたのかもしれない。本当は返さなきゃいけないんですが、民事でお金を返さない人は世の中にたくさんいて、全員が罪になるわけではない。僕は(このケースは)詐欺罪にはなると思います」と持論を語った。