本気? それともリップサービス? 小池百合子東京都知事が15日、参院選東京選挙区(改選数6)に出馬する元秘書の荒木千陽氏を前にして、「(国政で)し残したことがあるので彼女にぜひ託して、都民の声を国政に届けてもらいたい」と“後継者指名”とも取れる発言をした。自身の国政復帰の観測も流れるなか、この発言の真意とはいったい――。

“後継者指名”とも取れるような発言があったのは15日、都内で行われた、地域政党「都民ファーストの会」の政治資金パーティーだった。あいさつに立った同党創設者で特別顧問の小池氏は、自身が国会議員時代に取り組んだ液体ミルク導入、無電柱化、ソーシャルファームなどの政策を列挙した。

 さらにそのうえで、「私もいくつかし残したことがあるし、新しい課題もある。その中で荒木千陽さんが今回、国政に挑戦するというので、私のし残したことを彼女にぜひ託して、都民の声を国政に届けてもらいたい」と訴えかけたのだ。

 あたかも後継者指名のようだ。これまで何度も国政復帰が取りざたされた小池氏ではあるが、この発言からは、その意思は感じられない。このパーティーは都民ファの支援者が集まっており、一種のリップサービスとも受け取れるが、真意はどこにあるのか?

 都民ファ関係者は「本気だと思いますよ」と明かす。

「小池氏の国政復帰については、復帰するなら首相としてしかないわけですが、そういう状況ではない。何よりも小池氏は、政局と距離を置きたがっています。都民ファの国政進出にもあまり関わっていないし、都民ファと国民民主党との協議も『自分たちでおやりなさい』というスタンスでした」

 一方で荒木氏は、小池事務所で6年ほど秘書を務めており、そのうちの1年半は小池氏と同居していたほど、濃密な関係だ。参院選には都民ファが国政進出のために設立した「ファーストの会」から出馬する。

「おそらく自民党サイドから小池氏には、選挙で派手な動きはしないように、と“圧力”もあったかと思いますが、荒木氏の応援なら『愛弟子の選挙なので』と言える。元秘書の選挙応援に誰も文句は言えないでしょう」(同)

 小池氏は荒木氏の当選に向け熱心だ。「際どいところの勝負に彼女は挑まなければならない。まだまだ名前が知られていない。ポスターの数、もっとみんな張れないんですかね」と、壇上からゲキを飛ばした。

 当の荒木氏はどう思っているのか。パーティー後に直撃すると、「突然言われて『えっ!』て思いました。相当、重い発言ですよ。やり残したことがあるっていうのは」と気を引き締めていた。

 いったい小池氏がやり残したこととは何なのか? 環境とエネルギー分野に熱心だったというが、荒木氏は「小池氏は国会議員時代にやりたいことを議員連盟にしていました。その中でいうと『水素』ではないか。東京都は都バスを水素にしたりしていますが、国家的にやってほしいわけですよ」と指摘する。確かに水素は次世代エネルギーとして注目されているが…。

 果たして荒木氏は小池氏の期待に応えることができるのか。