【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。米「テスラ」CEOのイーロン・マスク氏が4月にツイッターを約5兆7000億円で買収するというニュースが駆け巡りました。個人が兆単位のお金を出すとは衝撃です。このほど買収を一時保留するそうですが、いずれにしても、それだけSNSが時代の主役ということなのでしょう。

 そこで本日は、SNS関連の映画を取り上げたいと思います。「フェイスブック(現メタ)」を創業したマーク・ザッカーバーグ氏を描く「ソーシャル・ネットワーク」(2011年日本公開)です。

 03年にハーバード大学2年生だったザッカーバーグ氏は、女の子にフラれた腹いせに大学をハッキング。そこから女子学生の写真を収集し、“美人格付けサイト”を作ります。これが学内ですさまじい話題を呼ぶものの、大学側が知るところになり、あえなく閉鎖。すると、ザッカーバーグ氏のプログラミング能力に目を付けたボート部のセレブ学生らが、現在のフェイスブックの原型となるSNSの制作を同氏に依頼します。

 ところが、ザッカーバーグ氏はそのアイデアを自分のものとし、いきなりフェイスブックを立ち上げるのです。これがハーバード大学だけではなく、さまざまな大学、さらには一般層にまで爆発的に拡大。10年には、ザッカーバーグ氏は25歳にして推定資産約4000億円の大金持ちに成り上がりました。もちろん、ボート部の学生らは怒り心頭です。両者は裁判ざたになり、結局、ザッカーバーグ氏は多額の和解金を支払うハメになります。

 僕は、この映画で面白いなと思ったのは、ただの成功物語に終始していないところですね。ザッカーバーグ氏も決して良いイメージで描いていないんですよ。裁判もそうですが、フェイスブックがグングン成長する間も、社内の内紛劇、裏切り、利権の取り合いなどもうドロドロ(笑い)。多かれ少なかれスタートアップは、そういうものかもしれません。

 それでもSNSを制する者は世界を制するのも確か。今回、イーロン・マスク氏がツイッターを買収しようとしたのも、何らかの目算があるに違いありません。一部では、裏アカを淘汰(とうた)するという情報もあり、天才起業家の次の一手に注目ですね。そういう意味でも、今作を押さえておいて損はありません! 

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。